著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
整理整頓や朝が苦手な先生でも無理なくデキる仕事術
兵庫県公立小学校俵原 正仁
2018/8/9 掲載
今回は俵原 正仁先生に、新刊『段取り・計画が苦手!だから…仕事は要領!』について伺いました。

俵原 正仁たわらはら まさひと

1963年,兵庫県生まれ。
通称“たわせん”。
兵庫教育大学を卒業後,兵庫県公立小学校勤務。
新任の頃、「教室を学校のワンダーランドにしよう!」と、ある教育雑誌に論文を書き、良識ある先輩に失笑されるが、この「教室ワンダーランド化計画」は、その後、若干形を変え、「笑顔の教師が笑顔の子どもを育てる」という「笑育」なるコンセプトに進化。現在、笑顔あふれる学級づくり、学校づくりに奮闘中。座右の銘は、「Goalは、Happyendに決まっています」。主な著書に、『博愛-ホワイト学級づくり 正攻法で理想に向かう! クラス担任術』(明治図書出版)『教師は見た目で9割決まる!』(学陽書房)等がある。教材・授業開発研究所「笑育部」代表。好きなお寿司は、コーン。

―俵原先生といえば、お仕事をバッチリこなされた上に、モノノフ(ももクロファンの別称)やプロレスファンとしての活動も精力的に行っていることは知る人ぞ知るところですが、どうやってその時間を創り出しているのか不思議でたまりません。そこで、その秘密を暴くべくまとめていただいたのが本書です。ズバリ!先生の仕事術の秘訣を一言で言うと?

 大学生のころ、近くの公民館にアントニオ猪木さんが講演に来たことがあり、私は大学の放送部の部員でないにもかかわらず、放送部代表として、猪木さんに単独インタビューをしたことがあります。その時、猪木さんに「どうやって時間をつくっているのですか?」という同じような質問をしたのですが、猪木さんは、「前のことを引きずらないというか……、パッと切り替えるというか……ンムフフフ。」というような答えをしてくれたような気がします。

―つまり、気持ちの切り替えが大切ということですか?

 もちろん、それも大切なのですが、猪木さんとのエピソードを話したのは、単に自慢したかったということで、スルーしてください。私の場合は、「無理をしない」というか……「自分に合ったスタイルを見つける」というか……ンムフフフ。

―まだ少し猪木さんが残っていますが、もう少し詳しく教えてください。

 自分は朝が弱いのですが、ビジネス書などを読んでみると「朝型生活のすすめ」的な内容がやたらと出てきます。実際に、若いころ私が憧れていた「デキる教師」のみなさんは朝型の生活をしている人ばかりでした。そこで、私も無理して頑張ってみたんですね。でも、できませんでした。無理をすることで、よくなるどころかむしろ仕事の質が下がってしまったんです。猪木さんが馬場さんのプロレスができないように、人には向き不向きというものがあります。今回は、自分のような計画を立てることは好きだけど、計画通りに実行することが苦手というような先生でも無理なくデキる仕事術を書かせていただきました。

―なるほど、それが本書の表紙にも書かれている「無理なくデキる教師になれるスマート仕事術」ということなんですね。具体例を一つお話しいただけませんか?

 自分のようなタイプの先生は、めんどうくさいことを先送りにする傾向があります。もちろん、計画的に一歩一歩進めていくことが大切だということはわかっています。でも、ついつい先送りしてしまうんですよね。もはや習性に近いものですからしかたありません。だから、「どうせ先送りするのなら、意識して先送りしましょう」ということを書いたページがあります。具体的には、「その仕事の締切日から逆算して、仕事を始める締切日を設定しましょう。」というものです。こうすることによって、堂々と仕事を先送りすることができるのです。

―今回の学習指導要領の改定で、道徳や外国語教育の教科化やプログラミング教育の必修化など、現場の先生方の仕事量はこれまで以上に増えてきていると思います。そのような過酷な状況の中でも、教師が笑顔で子どもたちに接するためには何が必要だと考えますか?

 確かに、標準授業時数も増え、やるべきことは確実に増えていますよね。だからこそ、スクラップ&ビルドが必要になってきます。子どもたちを伸ばすためには、何が必要で何が不必要なのかを今まで以上に意識することが大切になってきます。
 例えば、プリントの丸つけの時間です。休み時間もひたすらプリントの丸つけや日記のコメントを書いている先生がいます。丸つけの時間をスクラップすることができれば、休み時間に子どもたちと遊ぶ時間をビルドすることもできますよね。そのための時短テクやスキルなども書かせてもらっています。これらのことは、きちんと段取りができる先生方にも参考になるはずです。

―最後に目の前の仕事に押しつぶされそうになっている先生方へのメッセージをお願いします。

 本当に押しつぶされる限界ぎりぎりの人は、とにかく周りの先生方に相談してもらいたいのですが、このインタビュー記事を見ることができる程度の余裕があるという人は、ぜひ本書をお読みください。というのも、意図的に経験を積み重ね、力量をアップしていくことで、教師という職業は、年々楽しくなっていくからです。学べば学ぶほど、目の前の壁も笑顔で超えられるようになっていきます。やまない雨はありません。共に学び、共に頑張っていきましょう!

(構成:佐藤)
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