- 著者インタビュー
- 音楽
まずは人という楽器から音楽が奏でられることですね。その楽器は十人十色なのに、それらの声が合わさったときに一色になることもできます。次に場所を選ばずどこでも声を合わせて音楽を奏でることができることです。決してハモらなくてもいいです。同じ音をみんなで歌っただけでも心が合わさります。もう一つ、合唱には歌詞・言葉があることです。普段思っていても言えない思いを合唱は代弁してくれます。
「音楽的なことはわからないけど、うちの演奏は言葉がす〜っと入ってきて、胸が熱くなりましたよ」これは本校コーラス部が出場する合唱コンクールを聴きに来てくださる保護者の方や先生たちからよく言われるフレーズです。合唱の魅力の一つは言葉です。詩やその中の一つ一つの言葉の語感や質感、温度感などを感じることができるようになりましょう。言葉のセンスは、日常の生徒たちとの言葉のやり取りにも生かされていきます。
3K…「感」=気持ち、感じ方。「観」=見方、様子。「勘」=第六感。
「感」は担任の思いです。担任としてこのクラスをどう舵取りしたいのか。「観」は日々の生徒たちの様子のとらえです。そして「勘」。人間の五感は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚ですね。理屈では説明しがたい、鋭くものごとの本質をつかむ心の働きが「第六感」です。「勘」は先生方の経験から感じる「今でしょ!」のタイミングです。
「苦手」とは、技能面での自信の無さが原因であることが多いです。でも「苦手」であって「嫌い」ではないかもしれません。こんな生徒に担任としてどんな言葉かけができるか。これは超難題です。人それぞれ「苦手」なものはあります。それを強要することはできません。だからと言って練習に参加しないことを容認はできません。こんな生徒に対する言葉かけは、すばり「苦手は個性の一つ、でもやってみないとわからない世界もある。だからがむしゃらにやってみる価値はあると思うよ」
学校の元気は日本の元気になります。ですから学校は元気であらねばなりません。学校が元気であるためには、そこに暮らす生徒たちと先生たちが心身ともに元気であらねばなりません。生徒たちの元気は先生たち、特に現場最前線にいる学級担任の先生の元気から生まれてきます。先生を元気にするのは何か? そうです、音楽です。「音楽は心のスタミナ定食!」です。古今東西、音楽は人の暮らしの中に寄り添ってきました。その原点に思いをはせてください。音楽は、決して特別なことではないんです。