- 著者インタビュー
元々、言語はインプットなしには、アウトプットをすることはできません。語彙や表現が頭の中に入っていなければ、発話はできないのです。2020年度からは小学校3年生から小学校6年生の卒業までに、英語の授業が210時間ありますが、どのような英語表現が小学生として必要なのかを考えた時に、せめてこの程度の英語はすらすら出てきてほしいと思うのが、「すらすら英会話」(=英語表現集)です。本書では各章末に、各学年のまとめのページも用意していますので、そこを見るだけで、各学年でどのような表現を学ぶのかがわかります。
基本的に、単元末に確認する表現のまとめとして、この「すらすら英会話」を位置づけています。時間にして約6分〜8分です。まとめというからには、それまでに基本表現を繰り返し学習しているという前提となります。そして、この「すらすら英会話」で英語表現の確認ができたら、最後に、児童同士のSmall Talkが待っているという訳です。つまり、「すらすら英会話」は、最終的なインプットの場であり、その後の児童同士のSmall Talkが実践の場(=アウトプット)ということになります。
Small Talkの目的は2つあります。1つは、基本表現の定着です。教師のSmall Talk、児童同士のSmall Talkを通じて、児童は基本表現を聞いたり、基本表現を使って思いや気持ちを伝え合ったりします。もう1つの目的は、対話の継続です。I see.やMe too.など、相手の発言に対して反応したり、Oh, you like sushi?と繰り返したり、How about you?や、What sushi do you like?と質問したり、Good. Nice 等と感想を言ったりしながら、会話をつなげていきます。児童はその方法をSmall Talkで学んでいきます。
「すらすら英会話」は、そのSmall Talkで使う基本表現の核となる表現集ですので、もし児童が、英語表現を忘れてしまった時に、さっと取り出し、いつでも対話を振り返ることができるようになっています。
即興的な発話の反対は、準備のある発話です。あらかじめシナリオのある会話は準備のある発話で、準備のない発話を即興的と捉えます。しかしながら、即興的な発話の中身の多くは、今まで積み重ねてきた表現であったり、語句の一部を変えたものであったりします。何もないゼロの中から、発話は生まれてこないのです。
そこで、小学校では、あくまでも基本となる表現をできるだけ数多く、そして確実に身に付けられるようにしておくのが、即興的に話す力へと育っていく源であると考えます。
学習指導要領が改訂する度に、英語教師は学びの機会を得ることができますが、どの教師にも同じように機会が与えられるというのではなく、主体的に学習指導要領と対峙する教師のみに、多くの学びの機会が与えられるのです。ほんの数ページの学習指導要領(外国語科・外国語活動)ですが、外国語の目標、英語の目標、内容…と読み進めてみると、いかに奥が深いかがわかるでしょう。今こそ、学習指導要領を読み解き、授業実践に活かしていきましょう。