著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
話し合いの深め方と道徳ノートの活用法が、全部わかる!
筑波大学附属小学校加藤 宣行
2019/2/20 掲載

加藤 宣行かとう のぶゆき

筑波大学附属小学校教諭、筑波大学・淑徳大学講師。
スタントマン、スポーツインストラクター、公立小学校教諭を経て現職。
日本道徳基礎教育学会事務局長
KTO道徳授業研究会代表
光文書院「ゆたかな心」監修

―本書は『考え、議論する道徳に変える指導の鉄則50』加藤宣行の道徳授業 考え、議論する道徳に変える発問&板書の鉄則45に続くシリーズ3冊目です。今回の書籍のテーマについて教えてください。

 話し合いの深め方と道徳ノートの活用です。道徳が教科化され、深く考え議論する道徳学習が問われています。本書では、本当に議論を深めるためのポイントと私が実践してきた道徳ノートのエッセンスを網羅しました。これまでのシリーズの中で、発問や展開を中心にまとめてきましたが、今回は話し合いと道徳ノートに特化して、より詳しく、具体的にまとめたところが特徴です。

―本書には、道徳授業における話し合いの鉄則が詰まっています。先生の授業を参観すると、話し合いがとても活性化していると感じるのですが、ズバリ話し合い活性化の一番のポイントは何でしょうか。

 ズバリ「話し合いに参加したい」と思わせることです。そのためには、「話し合いたい」「友達の意見を聴いてみたい」「話し合うことで何かが見つけられそうだ」と思わせることです。あと、話し合いを深めることと、道徳ノートの活用は、意外と関連しているのです。そのような学級づくりを含めた本質的に押さえておくべきことと、今まであまり考えてこられなかった観点の両面からアプローチしています。

―次に、道徳ノートについて教えてください。昔は、道徳と言えばワークシートが主流でしたが、最近では道徳ノートの実践が増えてきていると感じます。加藤先生は、20年以上前から道徳ノートに取り組まれてきたということですが、ワークシートではなく、道徳ノートを使われている理由は何ですか?

 学習内容の記録保存のためではないからです。模範解答があるわけではないですし、そもそも道徳の時間は、よりよい生き方について子どもたち自身が深く考えていく中で、自分なりの納得解を見つけ出すことが目的です。ですので、授業中も授業後も、いつでも脇に携えて、必要なときに書いて考えたり、実践したことをまとめたりするためには、自由にレイアウトでき、しかも蓄積していくことのできるノートが必須です。それがあれば継続した学びを見取ることができるので、具体的な評価も簡単にできます。

―本書には、「ここまで考えて書けるのか!」と驚くような道徳ノート例もご紹介いただいています。子どもたちに、道徳ノートの書き方指導などはされているのでしょうか。

 オリエンテーション的なことや必要に応じてこれは押さえておきたいと思うことは全体周知します。けれど、自分で考え、レイアウトすることを基本としています。子どもたちに任せるわけです。不思議なもので、任されると自分で工夫し、自分だけのノートづくりが始まります。「ここまで考え書くことができるのか」と思えるノートは、子どもに任せるところがスタートです。

―最後に、これから「考え、議論する道徳」をさらに進めていこう!という読者の先生方にメッセージをお願いします。

 小学校は道徳が教科化されて1年が経とうとしています。中学校はいよいよ来年度からですね。せっかく変えるチャンスを得たのですから、この機を生かして、子どもたちも教師もやりがいのある授業をしたいものですね。そのためのエッセンスを網羅したつもりです。参考にしていただけたら幸いです。ともに頑張りましょう!

(構成:茅野)
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