著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
単元を貫く学習課題で、「暗記の社会科」から「考える社会科」へ!
北海道函館市立亀田中学校川端 裕介
2020/1/29 掲載

川端 裕介かわばた ゆうすけ

現在、北海道函館市立亀田中学校に勤務。
1981年札幌市生まれ。北海道教育大学札幌校大学院教育学研究科修了(教育学修士)。函館市中学校社会科教育研究会研究部長。NIEアドバイザー。マイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)。函館市南北海道教育センター研究員。
社会科教育では、平成24年度法教育懸賞論文にて公益社団法人商事法務研究会賞、第64回読売教育賞にて社会科教育部門最優秀賞、第29回東書教育賞にて奨励賞などの受賞歴がある。また、学級通信を学級経営に活用し、第13回「プリントコミュニケーションひろば」にて最優秀賞・理想教育財団賞、第49回「わたしの教育記録」にて入選などの受賞歴がある。

―本書は『単元を貫く学習課題でつくる!中学校地理の授業展開&ワークシート』『同 中学校歴史の授業展開&ワークシート』に続くシリーズ3冊目となります。本シリーズについて簡単にご紹介ください。

 本シリーズは新学習指導要領に対応し、すべての単元において「単元を貫く学習課題」を設定し、その課題に沿った計画を提案しました。単元を貫く学習課題については、生徒の答えを基にした解答例を掲載してあるので、すぐに活用できます。また、授業のワークシートと詳細な学習展開を、公民編では36時間ほど掲載しています。

―本書で提案している「単元を貫く学習課題」には、「なぜ社会にはルールがあるのか」「中学生社長になって活躍するには」など、興味深いテーマがたくさん含まれています。先生はどのような視点から、このような学習課題づくりに取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

 課題設定の視点は4つあります。1点目は、学習指導要領に基づいて、各単元で習得すべき知識や育むべき力を身につけることができるような課題にすることです。2点目は、社会的な見方・考え方を働かせることで考えが深まるような内容にすることです。3点目は、生徒が数時間に及ぶ単元の学習の間、思わず考えたくなるような表現にすることです。4点目は、生徒も教師も意識し続けることができるように、端的で短い言葉にすることです。これらの4点を押さえた課題を追究し続けると、生徒は課題設定のコツを次第に理解し、最終的には個別に課題を設定できるように成長します。

―本書では、本時の授業展開ごとに、対応したワークシートをセットで収録しています。こちらは、どのように活用ができるでしょうか?

 ワークシートを順番に解くと、1時間の学習の目標を達成できるように作成しました。解答例があるので、そのままコピーしてすぐに授業に活用できます。ただし、先生方にはそれぞれ授業のスタイルがあると思います。例えば問いの部分を板書して生徒に考えさせたり、ワークシートの一部を改変したりするなど、スタイルに応じて多様に活用してください。

―2021年度から始まる中学校の新学習指導要領全面実施に向けて、社会科の授業改善を進めていくためには、どのようなことが大切だとお考えですか?

 「社会は暗記」という印象を払拭することが大切だと考えます。そのためには、一問一答のような狭い問いが中心となる学習から脱却する必要があります。単元を貫く学習課題に決まった正解はなく、生徒が納得できるような最適解を導き出すことになります。教師の想定を超えるような考えが次々と出され、暗記の社会科から考える社会科へと学びが変わります。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 知的興奮と発見のある学習をすると、生徒も教師もわくわくします。そのきっかけになるのが、単元を貫く学習課題です。本書が、社会科好きの生徒と先生を増やす一助となれば幸いです。

(構成:大江)
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