著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
コミュニケーション力を高めて、絆の強い集団を育てよう
「菊池道場」道場長菊池 省三
2020/3/5 掲載
今回は菊池省三先生に、新刊『菊池省三 365日のコミュニケーション指導』について伺いました。

菊池 省三きくち しょうぞう

愛媛県出身。「菊池道場」道場長。小学校教師として「ほめ言葉のシャワー」など現代の学校現場に即した独自の実践によりコミュニケーション力あふれる教育を目指してきた。2015年3月に小学校教師を退職。自身の教育実践をより広く伝えるため、執筆・講演を行っている。

―本書は365日シリーズの第3弾です。今回は、菊池先生が長年大切にされている「コミュニケーション指導」にスポットを当てていますが、「コミュニケーション指導」に対するお考えをお聞かせください。

 教室、学校の中で一番大切にすべき指導領域だと考えています。子どもたちの人間形成においても、とても重要な領域だと思います。私はコミュニケーションは、あたたかい人間関係だと捉えています。この力が身につくと、多くの問題(不登校、いじめなど)は解決されると考えているぐらいです。AIの時代になっても必要な力です。積極性のある子ども、絆の強い集団が育ってきます。

―本書では、コミュニケーション指導の6つのメソッドを取り上げていますが、まずは何から取り入れていけばよいでしょうか。

 どれも大事ですが、やはり言葉の指導を第一とする考え方からすると、「価値語の指導」です。いい言葉を子どもたちに植林したいものです。「言葉は実体験を求める」という言葉があります。価値ある言葉が自分のものになっている子どもは、価値ある考え方や行動が当たり前になっていくことでしょう。成長が加速していきます。このように考えると、教師は価値語を植林するために学校に行く、と考えてもいいのではないでしょうか。

―本シリーズは、1年間の取り組みの道筋が見えることが特徴だと思います。新年度、1年間のどのようなイメージをもてばよいのでしょうか。

 どの子も必ず成長する、この学級は必ず集団として高まると信じて、1年間のスタートをきっていただきたいと思っています。ゴールイメージとしては、コミュニケーション力を身につけた子どもたちは、一人ひとりが主体的で個として確立している感じです。違いを認め合って成長し合っている感じです。白熱する学びをみんなで楽しんでいる教室になることでしょう。

―本書でも取り上げている「ディベート」は、難しいという声も聞きます。何か実践するときのポイントはありますか。

 ディベートもコミュニケーションです。たしかに、ルール等は難しいと感じる場合もあると思います。しかし、ディベートが難しいのではなく、人と対話をするのが難しいのです。自分と考え方や意見が違う人と対話をすることが難しいのです。ディベートは、それをわかりやすく簡単にしているのです。このように考えることで、ディベートも言葉のキャッチボールを楽しむことを第一に取り組んでいただけたらうれしいです。

―本書を活用して、2020年度はコミュニケーションに力を入れよう!という先生方に、メッセージをお願いします。

 本書を手にしてくださり、本当にありがとうございます。菊池道場の全国の仲間が、実践を持ち寄りまとめあげたのがこの本です。先生方の実践に必ず役立つと信じています。
 コミュニケーション指導は、子どもたちと一緒に創り上げていくことだと思います。教え込むのではなく、子どもたちのよさに目をつけ、引き出していくものです。ですから、子どもたちと一緒に楽しみながら学びを広げ深めていってほしいと思います。
 笑顔あふれる教室になります。そのためにも、これからも共に学び合っていきましょう。

(構成:茅野)
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