- 著者インタビュー
- 学級経営
私の場合、Jリーグクラブなど地域のスポーツクラブをどのようにマネジメントしていくのかというのが主な研究課題でした。地域に根ざしたスポーツクラブができることで、そこに住む人々やクラブに関わる人たちが幸せになるにはどうすればいいのか。クラブのビジョンやミッションはどうあるべきなのか。どんな人材が求められ、どんな物が必要で資金集めはどうするのか、そして、人々を楽しませるプロダクトをどうするのかを徹底的に考えていきます。
このような学びの主語をスポーツマネジメントから学校、学級に置き換えて実践を繰り返してきました。
スポーツには「する」「みる」「ささえる」というように、一人ひとりちがう楽しみ方があります。大好きなスポーツをプレーすることで楽しむ人もいる。プレーしている人たちをみるという楽しみ方もある。サポーターとしてスポーツを支えてくれる人たちもいる。
イエナプランでも、一人ひとりの子どもたちを大切にするというコンセプトが根底にあります。
つまり、スポーツでも学校でも関わり方は三者三様、それぞれが違っていいのです。
先生も、学校に通う児童・生徒も「ひとりの人間」です。
「理想の先生像」や「理想の児童・生徒像」に掲げられているようなモデルにだけ縛れていると個性が全く見えませんし、みんなが同じような人に見えてしまいます。
誰もが、もともと持っているような得意なことや好きなことを十分に生かすことで個性がグッと全面に出てきて、お互いの心理的な距離もグッと近づきます。すると、結果として教室でも職員室でも、組織としての質が向上していきます。これが、それぞれの得意分野を生かすことが重要である理由です。
ですから、先生たちには、先生である前に「ひとりの人間として子どもたちと接する」ことを心がけてほしいと思います。
「教室の主役はだれか?」を確認してほしいと思います。そして、先入観を捨てて、どのような子どもたちがいるのかをじっくりと観察してほしいと思います。前年度から引き継がれているネガティブな情報は捨てるくらいの覚悟も必要です。
まずは、徹底的にポジティブな面を見つけていくことで、子どもたちにも「ポジティブめがね」を装備してあげるといいと思います。
そして、何よりも重要なのが「オープンマインド」です。先生としての前に自分をさらけ出すことで子どもたちは安心するはずです。
私たちは「先生」など肩書きで呼ばれることがあるわけですが、その前にひとりの人間として子どもたちを含めた多くの人々とたちと接していけたらいいのではないでしょうか。
私もそうですが、皆さんも「一人ひとりかけがえのない価値をもっている」わけですから、その個性を「これでもか!」というくらいに発揮して毎日を過ごせたら幸せなんじゃないでしょうか。
本書が、それぞれの皆さんの「人生という名のボール」を転がし続けるヒントになれば幸いです。