著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
苦手を吹き飛ばす!作文支援ワーク
青丹学園発達・教育支援センター村井 敏宏
2020/3/27 掲載

村井 敏宏むらい としひろ

青丹学園発達・教育支援センター、S.E.N.S(特別支援教育士)スーパーバイザー、言語聴覚士、日本LD学会会員、日本INREAL研究会事務局。著書に、通常の学級でやさしい学び支援1 読み書きが苦手な子どもへの<基礎>トレーニングワーク通常の学級でやさしい学び支援2 読み書きが苦手な子どもへの<つまずき>支援ワークなどがある。

―本書は『<作文>支援ワーク』とのことですが、作文が苦手な子どもたちはどんなところにつまずいて作文が苦手なのでしょうか。

 作文は、自分の書きたい内容をイメージし言語化する、特殊音節や助詞表記に気を付けながら文字に表す、漢字表記を考える、文脈を確認する、句読点など文の表記ルールをチェックする、など多くのことを同時進行で考え作業する必要があります。
 読み書きの苦手さ、ワーキングメモリーの弱さ、イメージ力の弱さなどがあると作文は苦手になります。
 テーマだけを与えて、「さあ、書きましょう。」では、何をどう書いていけばいいのか全く思い浮かびません。

―このようなつまずきを持つ子どもたちはどうしたら作文が書けるようになりますか?

 作文を書くことで成功体験を積んでいくことが大切です。
 そのためには、書き方の例を示しながら、短い文から長い文にステップアップしながら練習していくことが大切です。

 ・書く内容はできるだけ子どもの発想を大切にする。
 ・表記の誤りは、書いた後で子ども自身が見つける。
 ・できたところ、良かったところを認めていく。

 作文は、書くことの積み重ねがないと上手にはなっていきません。自分のイメージを文章にする楽しさを経験させてあげてください。

―そんな手立てで、本ワークに取り入れられているアイデアを1つ、例えばどうぞ紹介してください。

 漢字作文(低学年)では、三文を書くワークになっています。

 1には、指定された漢字・熟語を使って文を書いていきます。
 2の文は、1の文を読み返して、続きの文を書いていきます。
 3の文は、自分の気持ちを入れた文を書くようにします。

 このように、文の書き方を示してあげると、子どもは文が書きやすくなります。書き方が分かって、自分で文章を考えて完成させる。作文にも自分でできた達成感が得られる練習法が必要と考えます。

―先生はこのワークをどんな風に使っていただきたいですか?

 この作文ワークは、子ども一人で取り組むドリルではなく、保護者や先生方と一緒に取り組むワークであってほしいと思っています。
 このワークでは、文章をイメージしやすいようにイラストを入れています。すぐに文章を書き始めるのではなく、絵を見たイメージを子どもの経験につなげて会話を楽しんでください。その中で思い出したこと、子どものつぶやきが作文の素になります。

―最後に…お使いになる先生、保護者等読者へのメッセージをお願いします。

 自分のイメージしたことを自分の力で文章にできることは学びの喜びにつながります。作文が上手になるためには、自分の考えを言語化して、繰り返し書いていくことが大切です。
 作文が「かんたん」で「おもしろい」と思えるように、この「作文ワーク」を活用していただけたら幸いです。

(構成:佐藤)
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