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読み書きの苦手さにもタイプがあります。
読みが苦手なタイプは、漢字の読みの中でも音読みを覚えることが苦手です。そのために「森(もり)・林(はやし)」は読めても「森林(しんりん)」が読めません。また、読みから漢字を思い出すことも苦手で、漢字テストで点数が取れません。
形が苦手なタイプは、漢字を思い出せても、部首の形やその配置を正確に書くことができません。また、高学年の複雑な形の漢字も覚えにくくなります。
漢字学習につまずきのある子どもには、つまずきの背景を捉えて、それに合わせた漢字練習をすることが大切です。
「ぴったりかんじ」(1年のみ):
1年生の漢字は、訓読みを中心とした基本漢字です。絵と文の意味に合ったぴったりの漢字を書き入れるワークです。
「かくれたパーツをさがせ」(2〜6年):
たくさんの漢字を覚えていくには、部首(漢字パーツ)を手がかりにすると効率的です。漢字の形や意味を手がかりに隠れているパーツを思い出していくワークです。
「漢字足し算」:
漢字の部分を足し算で組み立てていくワークです。足し算は筆順通りになっています。クイズの感覚で漢字を練習することができます。
「足りないのはどこ」:
一部分が足りない漢字から、足りないところを見つけて、正しく書いていくワークです。熟語が問題になっているので、熟語の読みの練習にも使えます。
「漢字を入れよう」:
文章の中の抜けている漢字を、文章の意味から推測して書き入れるワークです。ヒントから答えを選んで書き入れることができます。
「かくれたパーツをさがせ」
何回も繰り返し書く練習では、漢字の形は覚えていけても、漢字の読みや意味に意識がいきにくくなります。
漢字が苦手な子どもが効率的に漢字を覚えていくためには、部首や部品に注目し、その組み合わせで漢字を覚えていくことが大切です。本書の巻末には、その学年の「漢字パーツ表」を載せています(脚注2)。新しい漢字を覚えるときにパーツ表を見ながら、どんなパーツが付いているか確認させてください。書く時にもパーツの名前を唱えながら書くように促してください。パーツの意味も調べてみてください。「かくれたパーツをさがせ」のワークは、このようにして覚えた漢字の「形・読み・意味」の確かめになります。
漢字学習にかかわらず、すべての学習は、子どもが意欲的に取り組めて、子ども自身で達成感を得られるものでないといけないと考えています。漢字の苦手な子にこのワークを渡して「さあ、やりなさい。」では、子どもはすぐに投げ出してしまいます。
この「〈漢字〉支援ワーク」は、保護者や先生方の「支援」があってはじめて完成するものと考えています。子どもが困っているときにはすぐにヒントを出す、細かい筆順や形の崩れは気にしない、できたこと・良かったことはしっかりと褒めることが大切です。
漢字学習に苦手感を持っている子どもはたくさんいます。何回も書く練習をして努力しているのに成果があがらない。そんな積み重ねで学習意欲をなくしてしまうこともあります。
そんな子どもたちのために「やさしい学び支援」ができるよう、このワークを作りました。頑張っている子どもにエールを送っておられる、先生方やお父さんお母さんに使っていただけたら幸いです。
脚注1:紙版は光村図書の教科書に対応しています。教育出版・東京書籍の教科書をお使いの方は、電子書籍(PDF)版をご利用ください。
脚注2:「かくれたパーツをさがせ」と「漢字パーツ表」は、1年には収録されていません。