- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
教務主任になったばかりの頃は、担任に比べて児童と直接かかわることが少なくなって寂しさを覚えました。常に先を読み、児童や先生方が困らないように学校生活にかかわる全般について計画することに苦慮したこともありました。仕事を任されると、つい、「自分ががんばらなければいけない」と思いましたが、校長先生や教頭先生のみならず、同僚の先生方や校務員さんの意見を聞きながら仕事を進めていくと、次第に仕事に困ることはなくなっていきました。
本書の特徴として、「教務主任としての心得」的な内容と、「教務主任の実務」にかかわる内容が併せて記されています。「実務」にかかわる内容については、どの学校でもさほど変わらないと思うのですが、「心得」にかかわる内容については、学校の規模や児童生徒や地域、職員構成などの実態、そして何よりもご自身のキャラクターと大いにかかわってくると思います。本書に記した内容が正しいのではなく、自分に一番あった心得を見付けるためのヒントにしていただけるとありがたく思います。
自分の苦手な仕事ほど、ルーティーン化してスケジュールに取り込むということです。私は整理整頓が苦手ですので、放っておくとすぐに机上が乱雑になってしまいます。ですから、帰宅前の机上整理と、引き出しの一番下を空にしておくことをルーティーン化しています。また、同僚の先生に迷惑をかけないように、起案文書やメールを確認する時間を決めています。好きな仕事や得意な仕事は意識しなくても進んで取り組めるので、空いた時間に済ませることができます。
校長先生や教頭先生からの提案を率先垂範する役割と、現場の先生方の意見を集約して校長先生や教頭先生に具申していく役割があります。一番大切なことはそのバランスだと思います。管理職からの提案を率先してやれば、その提案が自校の課題解決に有効かどうかを身をもって感じることができます。そうした上で、現場の先生の声を聞き、改善点を具申していくことで、児童生徒のために、教職員が一枚岩となって取り組めるようになると思います。
教務主任の先生方が、明るく、元気で、笑顔の絶えない学校になれば、その学校はすてきな学校であるはずです。学習指導要領も変わり、GIGAスクール構想など新しい内容も導入されます。教師の働き方改革も推進されます。変革期の学校だから、教務主任の先生の負担も多いと思いますが、管理職の先生の指導を仰ぎ、同僚の教職員と協力して、児童生徒や保護者、地域の方々と共に、すてきな学校を創っていきましょう。