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まずは授業のねらいやめあてをはっきりさせます。毎時間これをきちんと整理するだけで、
・ねらいやめあての達成のために授業をする
↓
・その評価を次の授業に生かす
という形に自然になります。先に評価方法や評価内容が決まってしまうと、どうしても「評価のための評価」に陥ってしまいがちです。その意味で、定期テストの試験範囲が知識・技能だけにならないように気を付けたいところです。
「思考・判断・表現」の問題で特に「思考」と「判断」の問題ですが、これは「知識」や「技能」と区別しにくいところがあります。生徒からすれば、授業で習った問題が出るのは、それはごく普通ですが、評価の観点で考えると、既習事項の再生は「知識」あるいは「技能」の評価に該当します。「思考」と「判断」を評価するには、できれば初めて生徒が出会う事象についての「思考」や「判断」を評価するのがよいのです。
いわゆる「新場面テスト」はまさにそれをねらっています。問題場面の設定にあたっては新しい場面でありながら、せいぜいそれまでの学習と類似した内容を活用できるようにするのが望ましいでしょう。
まずはあらかじめ評価の観点やその方法を生徒に知らせておくということです。むしろ評価の観点や方法は、生徒と共に考えるということも考えられます。また、機会均等に全員に行うということや、さらに観点を具体的に定めて公平な評価をするということも重要です。
3つポイントがあります。
第一は粘り強い取り組みをしていることをしっかり見取るというものです。知識及び技能を獲得したりあるいは、思考力・判断力・表現力等を身につけようとしたりするときに、繰り返したり振り返るなどしながら何度も挑戦しようとしているそういう態度があれば+に評価します。
第二は、自らの学習を調整しようとしていることを見取るということです。第一の粘り強い取り組みの中でそれが見られれば+に評価します。この2つの側面の態度の評価が大切になってきます。
第三は学習のまとまりや単元ごとに評価をすることです。例えば10時間の単元のまとまりであればそのうち1回だけ、多くても2回は態度の評価にあてます。また、評価をするのは、学習のまとまりや単元の中の終盤で評価すべきです。学習のはじめの部分では、乗り切らなくて態度が伴わなくても、学習を進めていくうちに興味がわき、態度がよい方に変わるということがあるからです。指導と評価の一体化ということを考えればそれはむしろふさわしい態度です。そう考えると、授業の学習のまとまりの終盤で評価をするのは意味があることとなります。
この書籍は中学校の現場で授業している教員がそれぞれ工夫をして書いたものです。
したがって、どのページもそのまま授業で使えます。中学校は高校入試があり、生徒も保護者も内申点につながる評定には、どうしても過敏になりがちです。
特に、「思考・判断・表現」の問題は、ほぼそのままの形で定期考査に出題できるようにしてあります。
一人でも多くの読者の皆様に活用していただけると幸いです。