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いいえ、教師は必要です。「教師のいらない学級のつくり方」というタイトルを読んで、「どういうこと?」と思われた方も多いと思います。これは、決して「学級に教師なんて必要ない」「子どもたちだけで過ごそう」ということではありません。
「教師のいらない学級」とは、子どもたち自身が「先生がいなくても大丈夫」と感じられる学級のことです。教師に頼り切っていない状況だからこそ、自分たちで日々の学校生活をより良くしていくことができます。また、教師の手が離れても成長し続けることができるでしょう。
そのためには、教師が子どもたち1人ひとりをじっくりと見て、適切な支援・指導をする必要があります。どんな場面でどのように教師が必要になるかをていねいに考えていくことが大切です。
これは、「全て教師がやらないと」と思い込み、あれもこれも手をかけ過ぎてしまうことです。子どもたちが自主的に動くことや成長することを阻害してしまう可能性があります。
もちろん、子どもたちのためにがんばることが悪いことではありません。こうした前向きな思いが子どもたちの成長をより支えることにつながります。ただ、「こうしないと」「こう成長させないと」という思いが強くなり過ぎると、目の前の子どもたちの自然な成長を受け止めることができなくなってしまいます。
もっと教師自身が肩の力を抜いて自然体でいられるといいなと思います。そうすることで、子どもたち1人ひとりの「今」をていねいに受け止めることができます。より良い支援・指導の方法も1人ひとりに合わせて見つけていくことができるでしょう。
前作は、「授業づくり」について、私が大切にしていることや考えていることを書きました。ただ、授業の場面だけで、子どもたちが仲間とつながりながら自分(たち)の力で深く学べるようにすることはできません。土台となる「学級づくり」をていねいに行うことが大切になります。
そこで、今作では子どもとの関わりや学級づくりについて、私が大切にしていることや考えていることをくわしく書きました。「教師のいらない学級」へとシフトしていく過程を3ステップ、6段階に整理しています。今作だけを読んでも、参考にしていただけることは多くあると思いますが、前作と重ねることによってイメージしやすいと思います。
一番多い質問は、「子どもと接する上で大切にしていることは何ですか?」といった教師としての在り方に関するものです。普段、私が子どもたちとどのように関わっているかについて気になるようです。ご自身の考えと比べたり重ねたりされているのだろうなと思います。
その上で、「ケンカをどう指導しますか」「学級目標をどうやって決めますか」など、その先生が日頃「どうすればいいか」と悩まれていることとつなげた具体的な質問を受けることが多いです。ただ、こうした質問に対して、私は「こうすべき」と答えることはできません。なぜなら、目の前にいる子どもたちが違うからです。子どもたち1人ひとりが違えば支援や指導の仕方が変わります。
また、学級が変われば、学級づくりの仕方も変わります。今作も「こうすべき」「こうしたらよい」ということは書いていません。私が大切にしていることを書いています。皆さんの目の前の子どもたちの実態に応じて、声のかけ方、場のつくり方を参考にしていただければと思います。
「こうすればうまくいく」というものがないのが教師の仕事の魅力ですよね。私も日々、悩みながら子どもたちと共に毎日を過ごしています。読者の皆さんと共に、「目の前の子どもたちの成長をどのように支えていけばよいのか」を考えられればと思います。どうぞよろしくお願い致します。