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良くも悪くも、コロナ禍のために1人1台端末が一気に整備されたことは事実であり、当初の計画のように段階的に配備ということではここまで機運は高まっていなかったでしょう。その反面、1人1台端末が「コロナ禍」のための、緊急時に備えてどう使うかということに重きが置かれているような気がします。
僕としては、子どもたちが自分たちで学びを深めていくような学習フィールドを教師が提供し、プロジェクト型学習やSTEAM教育といった新しい授業デザインを創造していくための、先生たちのICTを活用した授業の日常化が第一歩だと考えています。
環境を整えるということはお金がかかります。学校にはお金がないとよく言いますが、ないわけはありません。ただ、予算の執行が前例主義になっていることが多いです。
カリキュラム・マネジメントは、教科横断的な視点、PDCA評価の視点と人的物的リソースの視点です。つまり学校の課題解決のためにどこにお金を使うかということを、学校長を中心に実働部隊が積極的に予算計画を提案する「行動力」が大切だと思います。
当然児童には差があります。しかし、GIGAの個別最適化の理念から考えるとICTスキルの差は、日常的に使うことで改善していくと思います。
大切なことは学校できちんと情報教育カリキュラムやスキルチェック表を作成し、1年生から指導を系統的に進めることです。また、家庭とも共有することで、自宅でもPCやキーボードやマウス、タブレット端末等を使う機会が増えていくようにしたいものです。
学校現場はほとんど「総括的評価」にしばられています。特に小学校は通知表作成のために、保護者のクレームを予防するために評価材料をたくさんそろえて、採点等に時間を奪われています。しかし、大切なのは「形成的評価」です。
毎時間、指導の視点(評価の視点)をもっていれば、子どもに掛ける言葉が明確になります。ルーブリック評価を使えば、子どもとも共有して、指導効果を高めることができます。ミニテストなどは1人1台端末で配付も採点もできますし、蓄積も確実です。
通知表の材料ではなく、子どもたちに力をつけるための評価になるように、ICTを活用した評価を積極的に行ってほしいです。
現在、教頭職となり、担任をもって毎日授業することもなくなりました。コロナ禍でも多様な子どもたちを指導する担任の先生のご苦労はとてもよくわかります。
ただ一方で、1人1台端末の実現で毎日、これまでできなかった授業ができるようになることが、うらやましくも思います。使っても使わなくてもいいとか、アナログ派とかそういうことではなく、これは教育の進化です。社会というOSのアップデートなので、ソフトであるわたしたち教員もまたアップデート(学ぶ)しなくてはならないのです。それはわたしたち「学びのプロ」である教員の使命です。
いつまでもアイコンバッジを表示させていないで、自分自身のアップデートをどんどん進めていきましょう。学ぶ姿を見せることが最大の指導効果です。