- 著者インタビュー
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本書で取り上げたICTを大きく分類すると、大型モニターなどの提示装置、iPadやChromebookなどの1人1台端末、それらにインストールして用いるロイロノート・スクールやミライシードなどの学習支援ソフト及びGoogle Meet等の会議システムが挙げられます。いずれも代表的なICTツールを活用した事例を取り上げました。
教師側にとっては、子供個々の状況が把握しやすくなることが挙げられます。個人差がはっきり見えるので、個に応じた指導がしやすくなります。子供の側から見れば、一斉学習場面ではうまくつかめなかったポイントをタブレット上でもう一度確認するなど、自分が必要な時に必要な学びを進められる点が最大の魅力です。
従来は誰と交流するかを子供が判断する学習は容易ではありませんでした。しかし、学習支援ソフト等の活用で、クラスの誰がどんな考えなのかが子供同士でも一目瞭然になります。指導のねらいが「一人一人の感じ方の違いに気付く」ことならば、それを促すことで、自分と違う考えの人と交流してみようといった、子供自身の目的を明確にした交流が実現できるようになります。
授業づくりは常に付けたい力の明確化が基点です。指導のねらいに合った活用が大原則となります。そしてもう一点、子供たちが課題の解決に向かって言語活動を行う中で、ICTの活用を必要だと実感できるタイミングで活用できるようにすることが大切です。子供が必要性を感じたとき必要な機能を使えるようにすることが魅力であり留意点でもあります。
本書の最大の特徴は、言語活動を通して国語の資質・能力の育成を目指すという国語科の本来的な授業づくりに軸足を置き、かつ、ICTの導入でより日常的に、あるいは手軽に授業改善を進めていただけるよう、基本的な考え方と具体的事例を提示している点にあります。ICT活用に取り組み始めた先生方、そして国語科の授業改善に取り組もうとする先生方に、ぜひ手に取っていただき、子供たちの学びを一層充実したものにするために役立てていただければ幸いです。