- 著者インタビュー
「考える国語」の授業では、「思考のズレ」から生まれる子ども自身の素直な「問い」を「用語」「方法」「原理・原則」を手がかりとして論理的に「考える」という思考活動を行います。さらに、この思考活動によって、「問い」を明確に解決する「問題解決学習」を行っていく授業です。
問題解決学習のスタートとなる、教師が子どもに出す「課題」を教材の論理から設定することが重要です。その「課題」を見出すために次のようなことを重視します。
- 教材の論理や仕組みをとらえるための「教材分析」
- 作品や文章を丸ごととらえ、全体から細部への読み
- 作品や文章を三部構成に分けて読み、因果関係や文章全体の構成をおさえた読み
国語にも「中心人物」「クライマックス」「要点」「要約」「要旨」等の国語における「用語」が様々ありますが、これらの用語の解釈は人によって違います。解釈が違うので答えも曖昧にされてしまうのです。国語における「方法」も同じことが言えます。このような「用語」や「方法」を明確に論理立てているのが「原理・原則」なのです。
たとえば「要点をまとめなさい。」という課題に対して、「要点とは何か?」「どのようにまとめるのか?」「どんなきまり(原理・原則)があるのか?」が分かっていなければ要点をまとめることはできず、曖昧にすることになってしまいます。国語における「用語」には、「原理・原則」があり、それを求める「方法」があるのです。これを基に論理的に考える必要があるのです。
「思考のズレ」を生じさせるためには、単元の最初の段階で出す教師の「課題」が重要な働きをします。この課題は、単なるイメージや感想だけを求めるものではありません。次のような子ども自身の素直な思いを表現させるものです。
- 課題に対して持つ素直な考えを表出させます。
- 完璧な考えを求めず、途中までしか分からなくてもいいことを大切にします。
- 課題に対して「わからない」という思いを大切にし、何が分からないのかを明確にします。
国語の授業は、イメージや思いが重視され、明確な答えは示されず、何でも曖昧にされ、何を学んだのか分からないことが多いです。これからの国語の授業は論理的で明確な答えを導き出す授業を目指さなければなりません。そのために、次のようなことを日々心がけていくことが重要だと思います。
- 「教材を教える」授業から「教材で教える」授業づくりを目指す。
- 普段使っている「用語」の意味、きまりを見つめ直す。
- 教材の論理をとらえるための「教材分析」を重視する。
- 教材を丸ごととらえた読みをする。
- どんな「問い」にも明確な答えを示す。
以上のことを大切にして、子どもたちに本当の国語の力を付けていく授業を目指していきましょう。