著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
絶対成功する英単語指導アイデアが満載!
岐阜大学教育学部准教授瀧沢 広人
2021/8/26 掲載

瀧沢 広人たきざわ ひろと

1966年東京都東大和市に生まれる。埼玉大学教育学部小学校教員養成課程卒業後、埼玉県公立中学校、ベトナム日本人学校、公立小学校、教育委員会、中学校の教頭職を経て、現在、岐阜大学教育学部准教授として小学校英語教育の研究を行う。

―学習指導要領の改訂で、中学校英語では学習できる英語の語数が大幅に増加し、教科書に出てくる総語数も各社とも大幅に増えています。そんな中、英単語に焦点を当てた本書のコンセプトをご紹介ください。

 1つは、英単語綴りを覚える方法があるということを伝えたくて執筆しました。英単語書けるようにすることは、一見、地味ではありますが、英単語が書けることで、生徒は英語“学習”に自信も持ちます。教師は生徒に英語を教えると同時に、自信をつけさせてあげることが必要と感じます。もう1つは、英語知識には様々な側面があるということです。新しい学習指導要領では、「実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能」として、語彙も指導しなくてはいけません。そのことの必要性を問いました。

―Chapter1では英単語を書けるようにするための5つの極意が示されています。本書では英単語を「書く」ことを一貫して重視していますが、これはどのような理由からでしょうか。

 英単語の綴りを覚えるということは、大切な学習であるにも関わらず、実際の授業で、読んだり、意味の確認は行ったりはしますが、英単語を書いて覚えるという学習は、家庭学習に任せてしまっていることが多いのではないでしょうか。それでは英語を苦手としている生徒は、なかなか英単語を書けるようにならないと思います。何事も授業が勝負ですので、授業内で完結させたいという思いがあります。さらにQ1でも書きましたが、英単語が書けるということで、生徒には大きな自信となるのです。

―英語への苦手意識のひとつには英単語がなかなか覚えられないことがあるかと思います。そのような生徒への指導ではどのようなことに気を付ければよいでしょうか。

 もともと日本語と英語では音韻体系が違いますので、何も指導しなければ、たいていの生徒は英単語を覚えることに困難を示すかと思います。そこで、英単語を音節に分け、音のまとまりごとに指で練習させることです。また、鉛筆を持たせたら、覚えることでなく、書くことに目的が移行しますので、「指で覚えたら、鉛筆を持って書く」いう段階を踏みます。その他は、本書をご覧ください。

―Chapter4「慣れ親しませる!スキマ時間の英単語指導アイデア」では「英単語・黒板しりとり」といった26ものゲームやクイズが紹介されています。どれも楽しそうですが、先生イチ押しの活動があれば教えてください。

 大変難しい質問ですが、これらのアイデアは、帯的に継続していくことで英単語に慣れさせるものや、 授業のスキマ時間でパッとできるもの、また、学期末などの特番授業で行うものなど、様々な場面で活用できますが、次のようなものがあります。

帯活動……○○で始まる英単語を集めよう など
スキマ時間……犬がネコに変わる など
特番……黒板しりとり/時計しりとり など

―最後に全国の中学校で英語を教える先生方に一言メッセージをお願いします。

 2021年度から、新しい学習指導要領に基づいた英語教育がスタートしました。「言語活動を通して」「実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能」「学習評価」「小中連携」等、課題は多々あるかと思いますが、何事も、Simple is the Best.です。難しいことをできるだけ易しく考えるようにしたいです。同時に、新しい学習指導要領の実施は、私たちの授業力を上げるよい機会となります。学習指導要領で投げかけられている課題の1つ1つをクリアしていくことで、私たちの授業力は確実に向上していくでしょう。何より、私は児童生徒の笑顔が見たいです!お互い明日に向かって楽しくやっていきましょう!

(構成:木山)
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