- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
『教師のON/OFF仕事術』は、3つの特徴があります。
1つ目に、教育技術を生かした「教師だからできる仕事術」という発想であることです。ビジネス界のノウハウを鵜呑みにせずに、学校現場での教育実践のノウハウを生かした働き方の改善方法を紹介しています。
2つ目に、業務内容ごとに省エネ(OFF)すべきことと、全力投球(ON)すべきことを分けています。また、私の教育観や教師像に沿って、ONとOFFの基準と理由を説明しています。
3つ目に、現場での多様な経験を生かして、自分だけではなく周りの人も幸せになるような働き方を提案していることです。仕事の量の削減だけではなく、質的な転換を図って仕事のあり方や教員としての生き方のヒントをなるような本を目指しました。
これから教壇に立つ方を含めて、主に若い先生方を意識して執筆しましたが、中堅やベテランの先生方にも役立つ内容だと思います。業務の多忙さは教員であれば誰もが感じていることですが、多忙さの要因は世代や学校の状況によって変わると思います。本書では、様々な立場の先生方に役立つように、多忙感を軽減して充実感を高めるための様々な発想と具体策を提案しています。
うーん、そうですね…秘訣とまでは言えなくても、きっとヒントになると思います。私自身、仕事に追われていた時期や、苦しさを感じる時期もありました。しかし、この数年は、仕事量は増えているものの、心にも体にも負担を感じていません。その理由はきっと、仕事のONとOFFの基準をつくり、周囲の先生方の理解を得るようにしながら、無駄を削って質を高める働き方ができているからだと思います。
気持ちはよくわかるつもりです。私もネガティブな気持ちになり、教師の道を選んでよかったのかと悩んだことがあります。今は踏みとどまって良かったと感じていますが、それはただの結果論です。
昔とは学校現場を取り巻く状況の質は変わっても、厳しさは変わらないと思います。苦しい経験は教師としてのあり方に「重み」を加えてくれますが、同時に「重荷」となってしまいます。そこで、『教師のON/OFF仕事術』を読んで「あっ、それもアリなんだ!」と感じ、心が少しでも軽くなり、教師として働くことに幸せを感じるきっかけになるとうれしいです。
「教師は世間を知らない」という批判の声は、昔からあります。しかし、教師の仕事ほど多様で創意工夫を求められるものは、そうありません。働き方を変えるヒントは、きっと教室での教育実践の中にあるはずです。子どもに対して発揮する技の数々を、先生ご自身の働き方に当てはめてみてはいかがでしょうか?