- 著者インタビュー
- 学級経営
「より良くするため!」
という「目的」を見失わないことです。
子どもたちと一緒になってトライ&エラー&リトライできるところが、私たちの仕事が創造的でおもしろい所以です。「アレンジ」の4文字には、教師の醍醐味が詰まっています。
日常のささやかなことが
「本当にこれで良いのかな?」
と気になったらビッグチャンスと考えています。
「軍隊みたいに整列することってどんな意味があるのかなぁ…」
と、悩んでいました。
「まえへーならえ!」という音声情報ではなく、視覚情報のボディサインを子どもたちが活用する『無言整列』を知りました。
1 先頭が手をパーにして挙げたら「無言」で前へならえをする
2 最後尾は整列ができたらOKのボディサインを出す
3 先頭がOKのボディサインに変えたら前から順に体育座りで座る
教室移動や朝会、避難訓練や校外学習など…学校の集団生活の中では、整列する機会がたくさんあります。『無言整列』を知っている子どもたちは、「自分たちで・静かに・素早く」整列できます。
前任校で学年を組んだ主任の先生に教えていただき、集団をコントロールする教師のためのテクニックだとばかり思っていました。しかし、続けていくと、教師の指示が無くても子どもたちがアイコンタクトで行動できる集団へと育っていったのです。目で見て自ら情報を掴み取るノンバーバルコミュニケーションが子どもたちの「主体性」を伸ばしていったのかもしれない、と思うようになりました。
「自治的集団へのはじめの一歩」と考えられるようになったら、整列もおもしろくなりました、私は。
若い先生方に紹介すると、教師に「させられる」整列を脱却した子どもたちは、日常の生活や学習での行動もみるみる変わっていったんです。そうした点から、効果が大きいアレンジネタの一つです。
教師のためだけではなく、このような子どもたちが主体となった日常のためのアレンジの“肝”を引っ張り出して活用していってほしいです。
学級経営においても、授業づくりにおいても、やりがいは共通します。
子どもたちの「成長」です。
「より良くするため!」というアレンジの「目的」はこれです。
そして、子どもたちと一緒に私たち教師「も」成長できるおもしろさ「も」欠かせません。なりたくてなった教職の営みを、私たちはもっとおもしろがって良いのではないでしょうか。本書が、そのヒントになれば幸いです。
インプロ(即興演劇)創始者の一人キース・ジョンストンは、
「どんなことでも5000回やると上手になる」
と言います(リフレクションを学ぶ中で影響を受けた東京学芸大学の高尾隆先生に教えていただきました)。「即興」を生業とするインプロの創始者でさえ、「5000回」という「数」を求めることに私は衝撃を受けました。
「5000回には…まだ、まだまだ!」
そう思えると、「リトライ」の心持ちがむくむく湧いてきませんか。
私は、経験を重ねるごとに、教師の仕事がどんどんおもしろくなっている実感があります。本書に記した「88」の実践を試みる中から、「アレンジ」の“肝”を引っ張り出すことができれば、子どもたちも私たちも、日常を一層豊かなものにできると信じています。
この本をきっかけとして、全国で実践されている先生方との交流や学びの場を持てることを幸せに思います。