著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ICT活用で学び方を多様に
大阪府公立小学校樋口 綾香
2022/1/24 掲載
 今回は樋口綾香先生に、新刊『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の国語授業づくり 説明文編』について伺いました。

樋口 綾香ひぐち あやか

 大阪府公立小学校で8年、大教大附属池田小学校で6年間勤務。自分の授業を磨くために始めたSNSでは、授業の振り返りを発信し続け、約3万人のフォロワーがいる。関西国語授業研究会、授業力&学級づくり研究会所属。著書に『子どもの気づきを引き出す!国語授業の構造的板書』(学陽書房)などがある。

―本書は、大好評をいただいております『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり』シリーズの第4弾の国語授業・説明文編として、おまとめいただきました。本書の読み方・おすすめポイントを教えてください。

 本書のおすすめポイントは、なんといっても単元全体の学習について、細かに記述されていることです。「単元全体」ということは、ICTを使っているところも、使っていないところも書かれています。私たちは、ICTを使っている場面だけでなく、どのような意図でどのようにICTを活用したか、逆になぜ使わなかったのか、多様な選択肢があることを伝えたいと思ったのです。ぜひ授業者側の意図に着目して、本書を読んでください。

―樋口先生は、普段の国語の授業において、どの程度、タブレット端末を取り入れていらっしゃるでしょうか。タブレット端末を取り入れる際のポイントがあれば教えて下さい。

 ほぼ毎時間使っています。部分的に使うこともあれば、全体的に使うこともあります。タブレット端末を使うときは、「学習内容をわかりやすくしたい」と考えるときや、「考えを深めさせたい」というように、各教科領域で何をできるようにさせたいかやどのように学ばせたいかを考えて、使うようにしています。

―通常の説明文の授業においても、構造と内容の把握など、説明文ならではのポイントや難しさがあると思います。1人1台端末を活用することで、その難しさをこのように解消できる〜といった、タブレット端末ならではの利点、有効な活用ポイントなどがあれば、教えて下さい。

 筆者の主張を捉える際、文章構成の序論や結論を比較しながら読むことが大切です。タブレット端末を使えば、デジタル教科書を利用して、序論と結論の文章を並べて比較することができたり、重要な文にマーカーを入れて、すぐに友達と共有することができます。また、要旨をまとめるときにも、書いたり消したり、文字数をカウントしたりすることも容易にできます。

―特に低学年の説明文の指導においては、タブレットの使い方含め、どのような点に気をつければよいでしょうか。1人1台端末を活用した国語授業・活動の中で、「これはおすすめ」というものがあれば、ご紹介下さい。

 低学年の説明文学習では、「比較しながら読むこと」「順序に気をつけて読むこと」の力を身につけなくてはいけません。このような力を育てるために、タブレット端末は大変有効です。段落ごとのまとまりに分けたカードをバラバラにして並び替えたり、同じ観点で書かれている段落を集めて仲間分けしたりするなど、一度読んだ文章をパズルのように遊びながら読み深めることができます。

―最後に、読者の先生方へ、メッセージをお願いいたします。

 国語の授業は、1時間で完結する学びではなく、単元を通して、あるいは年間を通じて積み重ねていくことが重要です。だからこそ、タブレット端末を活用した国語授業も、1時間単位でつくり上げるものではなく、子どもたちが主体的にタブレット端末を活用できるように、意図的に使い方を指導していくことが大切でしょう。本書に記したICT活用によって、国語の授業がより創造的で楽しいものになることを願っています。

(構成:及川)

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