- 著者インタビュー
- 特別支援教育
「つまずき」とは、子どもたちが自分で決めた目標に向かう過程の中で、自分で乗り越えることが難しい学習や活動のことです。決して「大人が決めた目標を達成できないこと」ではありません。“教えてください” “わかりません”と声に出す子、“うつむく” “必死で解決策を探そうと行動する”子など、つまずきの様子は、様々です。教師が子どもたちの「つまずきの様子=助けてのサイン」に気が付くことが、何よりも大切なことです。
小学校で初めて特別支援学級の担任として勤務する中で困ったことがあります。それは、同じ学校の中で、特別支援学級担任が自分一人しかいないということでした。私の勤務する自治体では、全校に特別支援学級が設置されておらず、教材や活動について助言をいただきたくても聞く人がいませんでした。Instagramでは、毎日のように同じ悩みをもつ方から相談があり、微力ながら少しでも先生方の力になりたいと思ったことがきっかけです。
子どもたちのつまずき(困り感)の背景を知ることが大切なことです。
一人ひとりの@これまでの姿(行動の様子、テストの結果、ノートの記録、保護者や専門機関の情報、発達検査など)、Aいまの姿(発達検査なども含む)、Bこれからの姿(子どもができるようになりたいこと)を総合的に判断し、本人や保護者の同意の上で、教材や活動を考えることが大切です。
これからの教育に大切なことは「教育的ニーズの広がり」と「多様化する価値観」への柔軟な対応だと思います。連続的な学びの場の活用、個別の教育課程の作成、個別最適化された学びの提供などが必要となります。
一人ひとりの成功体験を積み重ねることで、子どもたちの自己肯定感を高めることが大切です。そして、全ての子どもたちの将来の自立と社会参加を目指す上で、特別支援教育の視点が重要となります。
本書を手に取ってくださり、誠にありがとうございます。読者の皆様は、すでに子どもたちの“助けて”のサインに気が付いている方だと思います。本書で紹介しているアイデアは決して特別なことではありません。子どもたち一人ひとりの「できた・わかった・またやりたい!」を大切にできる学びの場をつくっていきましょう。ぜひ、目の前の子どもたちの実態に合った教材・活動へとアレンジし、楽しい学びを想像・創造ください