著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
勝負の2年目。1人1台端末の効果的な利活用を考えよう!
北海道教育大学旭川校教授石塚 博規
2022/8/26 掲載
 今回は石塚博規先生に、新刊『成功する1人1台端末の授業づくり 先進事例に学ぶ効果的なICTの利活用法』について伺いました。

石塚 博規いしづか ひろき

北海道教育大学旭川校教授。
旭川市生まれ。北海道大学文学部を卒業後、高等学校教員、札幌市教育委員会指導主事、北海道東海大学准教授を経て、現職。北海道教育大学大学院修士課程(英語教育)、北海道大学情報科学研究科博士課程修了(Ph. D.)。専門分野は、ICTを活用した教育、早期英語教育、第2言語習得、AIによる授業分析など。

―本書では、海外での先行事例などを参照しながら、失敗しない1人1台端末の活用例を提案しています。GIGAスクール構想も2年目となった学校で、本書をどのように活用してほしいと思われますか。

 欧米の先行事例は、成功例も失敗例もあります。そこから、失敗しない取組みに共通している条件を読み取ることができます。本書は、特にこれから1人1台端末の活用を本格的に始めたいと考えている教師の皆さんが、同じ失敗を繰り返さずに成功へ至るための秘訣をお伝えしています。

―1人1台端末はどのような場面で効果的に利活用できるのでしょうか。本書の第6章でも詳しくご紹介いただいていますが、ポイントとなる活用場面を教えてください。

 「共有」と「振り返り」です。学習過程や活動自体が時差なく、子ども間、子どもと教師間で共有できることの学習効果は計り知れないほど大きいと思われます。また、設定した課題に対して学習や探究がどう進んでいるのか、短期的、長期的に質的・量的に効果的に確認できます。

―1人1台端末の活用によって、教師側・子供側それぞれに、どのようなメリットがありますか。

 教師側からは、子ども達の評価がこれまで以上に多様な視点から行えるとともに、指導についてのフィードバックを得やすくなります。子ども側からは、自分の知りたいことを知りたいときに調べたり、学習履歴を設定した課題に照らして絶えず振り返ったりすることが可能になります。

―1人1台端末の利活用が進む中、見えてきた課題などがありましたら、教えてください。

 すでに、欧米で先行する実践や研究でも明らかになっているように、教員の研修が1人1台環境の利用で失敗しないための鍵になりますが、現状ではうまく進んでいないようです。また、地域や学校によっては持ち帰りが許されていないのですが、フィンランドの例のように家庭学習で端末の利用が進まないと、教育効果は低くなるため、これも学校や地域全体の取組みとして進めていくべきです。

―最後に全国の読者の先生方に一言メッセージをお願いいたします。

 1人1台環境は、これまでの教育では成しえなかったことを可能にします。まずは、子どもたちと一緒にこの新しい環境を利用してみてください。子どもたちはあっという間に慣れ、教師の想像できないような利用のアイデアを次々と出してくれるでしょう。本書の欧米の先進事例と、失敗しない1人1台の取組み事例を参考に、各教科や特別活動でできるところから始めてみましょう。

(構成:木山)
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