- 著者インタビュー
欧米の先行事例は、成功例も失敗例もあります。そこから、失敗しない取組みに共通している条件を読み取ることができます。本書は、特にこれから1人1台端末の活用を本格的に始めたいと考えている教師の皆さんが、同じ失敗を繰り返さずに成功へ至るための秘訣をお伝えしています。
「共有」と「振り返り」です。学習過程や活動自体が時差なく、子ども間、子どもと教師間で共有できることの学習効果は計り知れないほど大きいと思われます。また、設定した課題に対して学習や探究がどう進んでいるのか、短期的、長期的に質的・量的に効果的に確認できます。
教師側からは、子ども達の評価がこれまで以上に多様な視点から行えるとともに、指導についてのフィードバックを得やすくなります。子ども側からは、自分の知りたいことを知りたいときに調べたり、学習履歴を設定した課題に照らして絶えず振り返ったりすることが可能になります。
すでに、欧米で先行する実践や研究でも明らかになっているように、教員の研修が1人1台環境の利用で失敗しないための鍵になりますが、現状ではうまく進んでいないようです。また、地域や学校によっては持ち帰りが許されていないのですが、フィンランドの例のように家庭学習で端末の利用が進まないと、教育効果は低くなるため、これも学校や地域全体の取組みとして進めていくべきです。
1人1台環境は、これまでの教育では成しえなかったことを可能にします。まずは、子どもたちと一緒にこの新しい環境を利用してみてください。子どもたちはあっという間に慣れ、教師の想像できないような利用のアイデアを次々と出してくれるでしょう。本書の欧米の先進事例と、失敗しない1人1台の取組み事例を参考に、各教科や特別活動でできるところから始めてみましょう。