1つの大学に、1人の生徒が何十回も合格…。
大阪府や埼玉県の私立高校による、いわゆる“大学合格者水増し”が、先日来、新聞報道等で繰り返し伝えられているが、19日の産経新聞の記事によると、その背景には、私立高校の厳しい経営環境があることが指摘されている。
私学助成頼みの財政状況
同記事によると、東京都の場合、平成17年度の私立高校234校の収入は1999億円。うち647億円(32.4%)が都からの補助金とのことである。
生徒数の多い東京都ですらこのような状況であることを考えると、少子化の進行が激しい地方の高校の財政の厳しさは想像に難くない。
公立高校との競争激化
また、少子化だけでなく、公立高校との競争激化も一因として指摘されている。
東京都では、平成9年度から始まった都立高校の改革推進計画にもとづく進学指導の強化で、“進学重点校”に指定された、日比谷、西などの伝統校が復権を果たしている。
また、文部科学省によるSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)指定校の石川県立金沢泉丘高校の東大合格者数急増など、地方にも、独自色を打ち出して進学実績をあげている公立高校がある。
学区制の廃止などで、公立高校もまた、生き残りをかけて必死の状況がうかがわれる。
特待制度の是非
今回の“大学合格者水増し”にかかわる高校だけでなく、優秀な生徒を、授業料免除などの特待制度で集めている私立高校は少なくないようだ。
これについては、学問の分野だけでなく、スポーツの分野でも野球部員の特待制度の問題が先ごろ議論を呼んだ。
1つの大学に1人の生徒が何十回も合格、チームのメンバーの多くが実は県外出身者…など、行き過ぎとの批判を浴びてもやむをえないと思われるケースも少なくない。
しかし一方で、能力はあっても経済的に恵まれない生徒を救っている側面もある、との指摘もあり、特待制度の是非については今後も議論を呼びそうだ。
- 大阪府私立高が大学合格実績を水増しで公表
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070158
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生徒数がかなり少ない私立高校でも生き残っているわけが分かりました。