- きょういくじん会議
まだまだ残暑が厳しい今日この頃ですが、あと一週間もすれば10月。今年も芸術の秋が近づいてきました。芸術の秋とは言っても、子どもたちが学校やご家庭で「芸術」に親しむ機会はそれほど多いとは言えないのではないでしょうか。そこで今日は、子どもたちと芸術とのステキな出会いの場をつくっている、あるNPO法人の活動をご紹介します。
「芸術家と子どもたち」は、2001年に設立された、子どもたちとアーティストとの出会いの場を提供するNPO法人です。「芸術家と子どもたち」は、両者の出会いが、「子どもたちにとっては潜在的な力を存分に発揮する機会」になり、「アーティストにとっては子どもたちと関わり、表現を深める機会」になると考えています。子どもたちに、作品を鑑賞したり実際につくってみたり、という機会を与えるだけでなく、一連の活動を、アーティストという普段は直に接するチャンスがほとんどない人たちと共に体験する場を提供しているところが、このNPOの持ち味と言えるでしょう。
さて、「芸術家と子どもたち」は大きく分けると次の2つの活動を行っています。まずご紹介するのは、アーティストが学校へ行き、ワークショップ型の授業を行う「ASIAS(エイジアス)」です。ASIASはArtist's Studio In A Schoolの略。学校からの依頼を受けると、その学校の要望に合うアーティストを選び、ワークショップの内容などについて学校側と打ち合わせを重ね、アーティストが学校に出向いて実際のワークショップを実施するという流れになっています。いつもの学校で、いつもの教室で、いつもと違う授業…。このワークショップ、子どもたちにとってはとても楽しみな授業となりそうですね。アーティストによる個性的な授業作りによって、子どもたちが自分の得意分野で力を発揮できたり、意外な一面が見えたり、素直に自分らしい表現ができたり、友達の新たな魅力に気づいたり…。子どもたちの成長にもよい影響がありそうです。
次にご紹介するのは、子どもたちとアーティストが地域住民と一体となって作り上げるアート・プロジェクト、「ACTION!(アクション)」です。廃校になった校舎を利用してつくった「にしすがも創造舎」(東京都豊島区)を拠点に、様々なプロジェクトを行っています。例えば、「子どもたちとつくる舞台」は、アーティストとのワークショップというプロセスを経て、子どもたちが本格的な舞台作品を創作し、公演まで行うプロジェクトです。子どもたちの自由な創造力や表現力が十分に発揮され、リーダーシップやコミュニケーション能力の養成も期待できそうな活動ですね。この他に、子どもたちとアーティストが地域の人たちを取材したり、歴史などを調査したりして作品を創作するプロジェクト、「子どものいるまちかど」や、地域住民と一緒に野菜を育てる活動、親子や家族で参加できるワークショップなども行っています。
子どもたちとアーティストとの出会いを通して、子どもたちと芸術を引き合わせる「芸術家と子どもたち」の活動。もしかすると皆さんの住む地域にもこんな素敵な場があるかもしれませんね。今年の秋こそは子どもたちのための「芸術の秋」。子どもたちとアートの幸せな出会い、実現させてあげませんか?