- きょういくじん会議
先日のきょういくじん会議「理数教育の充実に向け「台形の面積」など復活へ―中教審」で取り上げたとおり、中学校数学科の新学習指導要領では、2次方程式の解の公式などの内容が復活する見通しとなった。
このような中学校数学科の学習内容復活の動きの中で、“本命”の一つと目されているのが、いわゆる「統計」にかかわる学習内容である。
「統計」にかかわる学習の変遷
戦後、標本調査や資料の整理などの、いわゆる「統計」にかかわる学習内容がはじめて登場したのは、昭和33年度改訂の指導要領である。
現行の指導要領でも残されている「確率」が登場するのが、昭和44年度の改訂であるから、「統計」にかかわる学習内容は、かなり早い段階から重視されていたと言える。
内容に多少の変化はあるものの、その後も一貫して重視されてきたが、平成10年の現行指導要領改訂時に、全ての内容が削除の対象となった(※「発展的な内容」として教科書には取り上げられている)。
この際の削除については、「統計」にかかわる学習内容自体の是非というよりも、授業時間数の削減という改訂の大きな流れの中で、消去法的にとられた措置という見方が強い。
なぜ再び注目されるに至ったのか?
「統計」にかかわる学習内容が再び注目されるようになった背景には、きょういくじん会議「授業時間数増で、どうなる算数教育」でも取り上げたとおり、今次の指導要領改訂で各分野に大きな影響を与えている、OECDのPISA調査(2003年実施の数学的リテラシーにかかわる出題)で「統計」にかかわる問題が幅広く出題されたという経緯がある。
また、平成17年に、民間企業も多数参加している統計関連の学協会が「21世紀の知識創造社会に向けた統計教育推進への要望書」を中教審に提出するなど、教育界の外からも、統計教育推進を要望する声が上がっている。
資料の「整理」から、資料の「活用」へ
このような流れの中で、「統計」にかかわる学習内容の指導要領への復活はほぼ確実視されている。
そして、この復活への動きの中で、注目に値するのが、従来のような、資料の「整理」を中心とした処理技能の面よりも、資料自体の適切性なども含め、資料をもとにどのように判断をするかなど、資料の「活用」が重視されている点である。
中教審の専門部会では、この新しい学習内容を、新領域「資料の活用(仮称)」として独立させようという動きもある。
中教審の審議もいよいよ大詰めを迎えているが、はたして「統計」にかかわる学習内容はどのような形で表舞台に再登場するのだろうか?
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