きょういくじん会議
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ビリヤードで理数の勉強、体験型授業の模索(米国)
kyoikujin
2007/11/29 掲載

 来月5日、マサチューセッツ州の小学校で、ビリヤードの指導資格をもつRoy Pastor氏による教育者向けの講習会が開かれる。とは言っても、ビリヤードを習う教室ではない。ビリヤードを使って、授業で習う幾何学や物理学をいかに子どもに身につけさせるかを研究する会だ。理科や数学教師の間では、どうすれば子どもに教科に対する興味を持ち続けてもらえるか、工夫を凝らした授業の模索が行われている。

 マサチューセッツ州では、MCAS (Massachusetts Comprehensive Assessment System) と呼ばれる州のテストをパスしなければ、高校の卒業資格がもらえない。現在、卒業するのに必要なのは英語と数学で基準の点数を超えることだが、2010年からは理科でも基準を超えることが求められる。
 NCLB (No Child Left Behind) によって全国規模のテストが義務づけられるようになった米国では、よい点を取ることに重点を置く教育のあり方に対する懸念が高まると同時に、テストでよい点を取るためには早くから子どもたちが勉強する意味や面白さを知り、長期的に興味を持ってもらうことが重要だとする見方も高まった。25日のThe Boston Globeによると、そのような考えをもつマサチューセッツ州の理科や数学教師の間では、将来MCASを受ける子どもたちに、早くから実生活に結びつく楽しい授業経験を積むことで勉強する意味や面白さを知ってもらおうという試みが多く行われている。
 クラスに鳥を持ち込んで、からだの仕組みや空を飛ぶ原理などについて考える授業。パソコンを使い、その場で計測した心拍数をデータとして処理する授業。実際に中庭を建設しながら幾何学や工学などについて学んだりする科学博物館でのプログラム。他にも、幼稚園児でも気圧や風速を観測できる装置を設置したり、太陽が雲で隠れた瞬間に、ソーラーパネルで得られるエネルギーの量が変化するのを観察したりする実践も予定されている。

 テストのためだけに勉強するのではなく、学ぶことと遊ぶことの楽しさをうまく統合して、理科や算数の面白さを知ってもらいたいというマサチューセッツ州の教師たちの想いは、2010年以降に高校卒業を望む子どもたちに、どのような力になってゆくのか、見守ってゆきたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/11/29 17:00:59
    日本でもこないだ教育再生会議が似たようなことを言ってましたが、米国ではすでに実施されてる州もあるんですね。成果のほどが気になります。
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