きょういくじん会議
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商・工・農業高校が統合? 職業教育新時代の幕開けか
kyoikujin
2008/1/12 掲載

 8日の読売新聞の記事によると、政府・自民党が、現行の商業・工業・農業高校を再編・統合した5年制の新たな職業教育機関を創設するなどの検討に入ったとのこと。少子化・大学進学率の上昇など各種学校運営には逆風が強い中、職業教育の充実をめざした学校種再編の取り組みは注目だ。

 同記事によると、まだこれから自民党内にプロジェクトチームを発足させるなど、実際の先行きは不透明ではある。内容的には3年間の教育課程に2年間の新たな高等教育課程を加えた専門高校の再編・統合が主眼のようだが、教育課程を短大や専門学校と統合するなどの検討課題も挙がっており今後大きな議論を呼びそうだ。

 少子化等のあおりで専門高校や高専への進学希望者は減少の一途をたどっている。たとえば東京都教育委員会の報告書など、数年前から各地でその対策を独自で立てているようだが、今回の自民党の取り組みが本格化すれば、各地で抱えている課題の一定部分は解消されそうだ。

 しかし単純な統廃合効果をねらっていることに疑問を向ける声もある。たとえば、現行でも高専では工業系・商船系ともに5年間の専門教育を行っているが、今回の統合・再編案を見る限りでは、「専門高校の高専化」と取れなくもない。ただでさえ進学希望者の減っている高専を増やすような結果になると危惧する声も出てきそうだ。

 それよりも産業の多様化に向けた施策を謳っている点にもっと注目をした方が良さそうだ。趣旨は全く異なるが刑務所での職業訓練にも今後エステティシャンやCAD技師のための訓練ができるようになるという朝日新聞の報道もあった。産業の多様化への対応は民間の専門学校だけではなく高専や専門高校にも必要になってきているのかもしれない。小・中学生のキャリア教育にも影響を与える可能性もある。今後とも注目していきたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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