- きょういくじん会議
10日の朝日新聞の記事によると、全校で体力テストを実施し、その結果に偏差値を入れている自治体が増えている、とのこと。この偏差値を見てショックを受ける生徒・保護者も多いという。
そもそも体力テストは、昭和39年当時の文部省が体力に関する情報収集のために小・中学校を中心に導入したものだが、データの取り扱いは学校または各自治体の教育委員会により違いがある。
文科省発表の平成18年度の「体力・運動能力調査報告書」では全国平均や標準偏差も載せているが、生徒に渡す個人票に学校での順位、偏差値等を載せるかどうかは学校や自治体に任されているそうだ。
昨年行われた全国学力調査で文部科学省は、データの公開が学校間の過度な競争につながることを避けるために都道府県別(公立)の結果のみを発表したが、体力テストに関しては特に指針を出してはいない。
偏差値が入った体力テストの成績を受け取った保護者からは「(勉強とは違い)何をどうがんばったらいいのか分からない」という声も上がっていると同記事では伝えている。
最近では運動塾や体育の家庭教師を依頼する親が多く、スポーツクラブ等でも子どもの体力強化を目指したプログラムを設けているところもあるという背景には、体力低下の報道とともに、こういった偏差値を気にする保護者の姿もあるのかもしれない。学習塾などに行くためにクラブ活動に参加できなかったり、外遊びをする時間がないという一方で、体力面でも他と比べて劣ることがないように運動塾に通ったり、スポーツジムに通う子どもたちが増えているという奇妙な現象が起こっているとも言えるだろう。
子どもの運動能力“下げ止まり”―文部科学省調査でもご紹介したように子どもたちの運動能力・体力は一部で下げ止まっているとはいうものの、楽観視はできない状況だ。自治体や学校も子どもたちの体力低下の現状を受け、体力テストの結果をもって家庭や日常生活での運動を心がけて欲しいという狙いがあるのかもしれない。子どもたちには偏差値を意識しすぎるのではなく、自分の運動能力・体力の成長を振り返り、一つの目標をもつための「体力テスト」と受け止めて欲しい。
- 子の体力を偏差値化 自治体相次ぐ 結果返却、親ら恐々(朝日新聞)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200801090325.html
![](/common/img/banner/merumaga_w655h70.png)