- きょういくじん会議
皆さん、右の標識の意味はわかりますか? 自転車の場合は? ちょっと迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。ましてや子どもたちはなおさらわかりません。
このように、大人でもちょっと迷ってしまう道路標識ですが、道路標識を含め、小学生の自転車交通安全の知識・技能を競う大会があります。今回は数10年前に某県代表として出場した筆者が、この大会をご紹介します。
その大会は、「交通安全子ども自転車全国大会」といい、「(財)全日本交通安全協会、警察庁」の主催で開催されています。昨年の記事によると、昭和41年から毎年夏に開催しており、昨年で42回目を迎えました。競技を通じて児童に交通についての興味と関心を高め、交通知識を身につけてもらうことなどを目的としています。
競技会は学校ごとにチームとなり、2日間にわたって行われます。
- 1日目:学科テスト
- ショートアンサー式の交通規則や道路標識・標示に関する40問、○×式の自転車の安全な乗り方に関する20問の計60問が出題されます。制限時間30分で、各選手に持ち点があり、間違えると減点されていきます。
- 2日目:安全走行テスト、技能走行テスト
- 2日目からは自転車を使った実技競技になります。
「安全走行テスト」は、競技上に横断歩道や信号、踏み切りなどといった架空の道路を設置し、交通ルールにしたがって自転車を運転し、ゴールを目指します。
「技能走行テスト」は、「せまい通路の安全な通行」「片手(左手)走行による左、右回転操縦」「ジグザグ進行」「デコボコ道の安全な走行」等が行われます。
これらの実技競技も各選手に持ち点があり、交通ルールに違反したり、決められた競技ルール(例:足をついてはいけない、線を踏んではいけない)に違反すると減点されていきます。
1日目と2日目の減点数がもっとも少ない学校が団体優勝となり、個人の順位も発表されます。
競技会のあらましとしては以上のとおりです。実際のイメージは先の記事をみていただければわかると思います。
さて、大事なのはこのような競技会が行われる意義です。単なる「競技会」では意味はありません。そこで、実際に大会に参加し、これまで自転車・自動車あわせて交通事故に一切あっていない者として、以下のような意義をあげてみました。
1.交通の意識が高まる。
あいまいではありますが、確実に意識は高まると思います。
自転車の走行中、道路のどこを走ったらいいのか、狭い道ではどのくらいのスピードで走ったらいいのか、走行中にどんな危険が想定されるかなど、当たり前のことがなかなかできない実際の交通現場で、それらの意識・技能が高まります(もちろん、自動車の運転中もです)。
2.標識に強くなる。
冒頭の標識はもちろん、小学生にてほぼすべての道路標識を覚えることができます。自動車を運転している親よりも詳しくなる!?
3.自動車の運転にも役立つ。
1、2とのつながりですが、年少期に交通安全の意識を高めることは、大人になって自動車の運転を始めたときにも役立ちます。
知らない土地に出かけて見知らぬ道路標識を見ても慌てることはありません。
また、ちょっとそれますが、自動車の免許をとる際にも前提知識があるので有利です(試験上、優遇されるわけではありません)。
子どもたちの自転車の交通安全の問題は、これまできょういくじん会議でも何度か取り上げてきました。身近な存在であるにもかかわらず、学校で取り上げられる機会は少なく、交通ルールは常識的なものとして、言わばあいまいに扱われている面もあります。
このように「競技会」という形であっても、子どもたちの交通安全意識を高める試みは良いことではないでしょうか。先月公表された学習指導要領案でも安全教育が指導の重点事項に入っていました。
今年の大会要綱はまだ不明ですが、ぜひ興味があれば学校で地元の交通安全協会に問い合わせてみてはいかがでしょうか?
(ここで紹介した競技日程、ルールについても、詳細は地元の交通安全協会に確認してみてください。)
- 急げ! 3人乗りでも安全な自転車の開発 (2008/3/9)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20080110 - 片手運転で罰金も? 自転車の安全利用推進―警察庁 (2008/2/16)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20080075 - 競技用自転車で死亡事故―路上駐車の車に衝突 (2007/7/20)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070154
※記事内容に脱字がございました。お詫びして訂正いたします。(2008/3/18)
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