きょういくじん会議
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今日は「ミロのヴィーナス」発見の日
kyoikujin
2008/4/8 掲載
Knopf Guide the Louvre (Knopf Guides)

 4月8日は何の日? 実は教科書などでよく見かける「ミロのヴィーナス」が発見された日です。

 「ミロのヴィーナス」の通称で知られる像は、愛と美と性を司るアフロディーテの像と言われています(もしくは海の女神アンフィトリテ)。この像は1820年の4月8日にエーゲ海にあるメロス島で、ヨゴスという農夫に発見されました(ミロのヴィーナスの「ミロ」は発見地メロス島の英語風名称)。その後、修復などがされてフランスの国王ルイ18世に献上され、ルイ18世はこれをルーヴル美術館に収納しました。

 この「ミロのヴィーナス」はルーヴル美術館に収納されてから、1度しか海外に出ていません。その来訪先が他ならぬ日本です。1964年、東京オリンピック開催を記念して貸してくれたもので、国立西洋美術館と、京都市美術館(巡回)で、「ミロのヴィーナス」が特別展示され、約172万人を動員しました。今年も、4月6日(日)まで、上野の東京都美術館で、「ルーヴル美術館展」が開かれていました。

 ご存知のようにこの像には両腕の先がないのですが、その腕の先については、世界中の人々の想像力をかきたて、(1)「左手でリンゴを持ち、右手は腰布を持っている」というアドルフ・フルトヴェングラー(ドイツの考古学者)説、(2)「軍神マルスの隣に立ち、右手はマルスの腕、左手はマルスの肩においている」というズール・ストラッセン(ドイツの彫刻家)説、(3)「両方の手に花輪を持っている」というベル(イギリスの彫刻家)説など、色々な仮説が展開されています。
 また、身体のさまざまな部分が、『ダ・ヴィンチ・コード』でも話題になった、最も美しく安定した割合とされる黄金比「1:1.61803」になっていることでも有名です。

 作者については、一緒に発見された台座に「アンティオキアの市民、メニデスの息子、アレクサンドロス」とある為、これが作者の名前であるとの説が有力です。アンティオキアは現在のトルコにある、地中海貿易の拠点として栄えた都市で、シルクロードの出発点として知られています。発見地のメロス島も、石器時代の主要な石器材料と言われる「黒曜石」の世界的な産地として有名です。

 有名な彫刻・美術品のルーツを調べ、そこから歴史を紐解くのも、歴史学習に興味を持ってもらう一つの方法かもしれません。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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