きょういくじん会議
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子どもに合った教材を 発達障害児向けの教材共有
kyoikujin
2008/4/28 掲載

 16日の産経新聞の記事によると、発達障害児向けの教材がネットで公開されるようになったそうだ。これは、「全国LD(学習障害)親の会」(東京)が、文部科学省から「障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業」を委嘱され、データベースの共有を目的に活動したものだ。

 このデータベース作成にあたっては、学校や療育機関での先行事例・有効事例、家庭での工夫等による教材・教具のアイデア、事例を収集。LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障害の子どもの困難やニーズに合わせて有効なサポートツール(教材・教具など)を体系的に整理している。

 早速、データベースを試してみた。「区分1」→「区分2」→「学習の領域」→「困難」と順番に選択していくと、該当の教材・教具が検索される仕組みである。
 「区分1」で、「国語」「算数」「その他の教科」「運動と姿勢」「日常生活活動」「行動」「対人関係・社会性」を選択する。「区分2」・「学習の領域」で、更に詳細にわけた5項目ずつくらいを選択して絞る仕組み。その上で、子どもの現状を「困難」で選択。すると、検索結果が出てくる。
 検索結果には、なぜ子どもが困難に直面しているのかという「困難の要因」とサポートツールが表示され、ツールが「既存」か「新規」か「自作」かということや、実証結果もあれば紹介される。

 少し使ってみただけでも、網羅されている範囲に驚く。データベース作成のメンバーには、教師や保護者、研究者だけでなく、作業療法士も加わったという。参加したメンバーの「教師はどうしても教科学習に目を向けてしまうが、生活面や運動面という支援を新たに学んだ」という感想からも、作業療法士が加わったことで、より充実したデータベースになったと考えられる。

 発達障害児と一言で言っても、状況は様々で、予測できないことも多いだろう。一人一人に合った教材教具を提供する必要がある中、個人に合った教材教具をゼロから作り出すというのは暗中模索ということもあるのではないか。データベースを参考に、それぞれの子どもに合った活用ができるというのは有り難い。

 また、子どもに合った使い方をするようにという注意が細かくされている点からも、作り手の子どもへの愛情がうかがえる。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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