- きょういくじん会議
近年、特に大学院において、新しく開校されたり、多様な専攻コースが設置されたりする動きが見られます。これらは、多様化する社会において、様々な問題解決のニーズに応えられる、高度に専門的な人材を育成するための動きと考えられます。実際にどのような大学院や専攻コースが生まれているのでしょうか。
芸術や文化の分野の「まちづくり」専門家を育成する目的から、来春、京都に、「文化政策・まちづくり大学院大学」が開校される予定となっています。17日の朝日新聞の記事で紹介されています。対象は自治体のまちづくり担当職員や一般企業の社員などを想定しており、主に通信制の形をとり、対面講義や町家などでのフィールドワークも行うとのこと。まちづくりに特化した大学院大学は全国で初めてということです。
大学内に新しく設置された専攻コースとしては、昨年10月に東京大学で、「東大まちづくり大学院(正式名称は東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻都市持続再生学コース)」が開設され、同じく社会人を対象としており、夜間と土曜日に講義や演習が展開されています。こちらは正式名称からもわかる通り、都市のまちづくりの専門家を育成する専攻コースです。このような社会人を対象とした大学院のコースでは、修士論文で、実務を深く掘り下げる実践的な研究に取り組むことができることが魅力といえるでしょう。
一方、北海道大学大学院環境科学院には、「南極学カリキュラム」という珍しい専攻があります。21日の読売新聞の記事でも紹介されています。南極学カリキュラムは昨年度開講され、今年で2年目を迎えました。このカリキュラムは、「極地や寒冷圏での現象、地球規模の環境変化、雪や氷の科学などを、南極を舞台にして学ぶためのユニークな教育システム」です。
これはまた、2006年7月に国際的なニーズを受けて設立された、国際南極大学(IAI)に、日本が参加するためにつくられたカリキュラムでもあります。国際南極大学は、温暖化などの地球規模の問題に対して、国を超えて協力して取り組むために設立されました。北海道大学大学院の南極学カリキュラムでは、国際南極大学で連携するオーストラリアやスイスなどの大学と協力の上、講義や実習などが展開されています。
いずれも社会のニーズに応える専門家を育てるための実践的なコース設定です。ここで専門的な知識や技術を身に付けた人材が、社会のために活躍することが期待されます。