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都内のひきこもり若年者は約2万5千人―東京都調査
kyoikujin
2008/5/27 掲載
「ひきこもり」救出マニュアル

 都内のひきこもり状態にある若年者(15歳〜34歳)の推計人数は約2万5千人(出現率0.72%)。年齢層は30〜34歳(44%)、性別では男性(69%)が多い―東京都は5月14日、「ひきこもりの実態調査結果」をこのように発表した。

 この調査は、東京都がひきこもりの若者への効果的な支援対策を講じるために平成19年度に実施したもの。
 これによると、ひきこもりの状態になった時期は、「25〜27歳」(25%)、ついで「13〜15歳」(16%) が多い。また、ひきこもりの状態が継続している期間は「3〜5年」(25%)、「7年以上」(19%)であり、ひきこもりが1年以上の長期に渡って継続している事例が全体の75%を占めていることがわかった。

ひきこもりのきっかけは就労?

 ひきこもりの状態となった原因としては、「職場不適応」(28%)、「就職活動不調」(13%)など、就職・就労に関することがきっかけとなった事例が多かった。その他、「病気」(25%)、「人間関係の不信」(22%)、「不登校」(19%)もあげられた。

学校での経験との関連

 学校での経験との関連はどの程度あるのだろうか。ひきこもりの状態となった人の34%が「不登校」、44%が「いじめられた」、50%が「勉強の遅れ」、41%が「学校の先生との関係がうまくいかなかった」を経験していた。これは、一般群(※)では、「不登校」が5%、「いじめ」が18%、「学校の勉強についていけなかった」が15%、「学校の先生との関係がうまくいかなかった」が11%であるのと比べ、高い数値となっている。

ひきこもり予備軍も…?

 この調査報告では、実際にひきこもり状態にはないものの「自分も、家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「理由があれば家や自室に閉じこもるのも仕方がないと思う」などの「ひきこもり」に対する理解を示す項目で高得点であった層を「ひきこもり親和群」として注目している。
 この親和群は、全体の4.75%。最も多い年齢層は20〜24歳で、ひきこもり状態にある人の年齢層より比較的低い。親和群がひきこもりの前段階にあり、今後ひきこもりになっていく可能性も考えられるが、断定するにはより多角的な検証が必要としている。

 東京都は2008年度から不登校経験者や高校中退者を対象にひきこもりの未然防止を図る取り組み(ひきこもりセーフティネットモデル事業)を開始しており、NPO法人等との協働による支援プログラムの実施など、ひきこもり予防のための取り組みを推進していくという。

※この調査報告では、ひきこもり状態にある群、ひきこもり親和群と一般群(それ以外)の3つに分類して分析している。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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