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全国大学国語教育学会 茨城大会開催
kyoikujin
2008/6/6 掲載

 5月31日から二日間、新学習指導要領の告示後初めてとなる「全国大学国語教育学会」の全国大会が開かれた。言語活動の充実が謳われるなど、国語科は最も注目を浴びている教科の一つ。この時期に行われる学会の模様をリポートしたい。

 同学会は、全国の大学教授など国語教育研究者と小・中・高の実践家らがそれぞれの研究発表・討議などを行う。年に2回、全国大会の開催と研究紀要の刊行が行われている。

今回は第114回大会

 今回の会場は茨城大学。
 初日の午前は自由研究発表。6つの会場に分かれ、それぞれ30分の割り当てで6本ずつ、計36本の研究発表が行われた。PISA型読解力への対応フィンランドメソッドの国語教育への導入など、話題性のあるものだけでなく、大正・昭和戦前期綴り方教育などの史的研究や、言葉の機能に着目した教科内容の再考など地道な研究も多い。

参会者の注目を集めたのは

 参会者はそれぞれ興味のある会場へと、時間によって目まぐるしく移動する。中でも人を集めたのは、国立教育政策研究所総括研究官・有元秀文氏による「リーディングリテラシーを育てるための指導戦略と評価方法の開発」。有元氏は全国学力調査や新学習指導要領にも影響を与えたとされるPISA読解力調査の日本における第一人者である。PISA型読解力への対応にはまだ賛否があるようだが、国語教育の学会レベルでの注目度の高さを見ると、2009年の読解力測定をメインにしたPISA調査の動向にも注目していくべきだろう。

全体討議の内容は

 午後は「国語科の教科内容を検討する」と題したパネルディスカッションが行われた。国語科はなにを教える教科なのか曖昧だ、と言われてきたが、学会でも今なお議論が続いている。
 他方、全国の自主的な研究組織や学校単位などでは、国語科の能力系統表を独自に作成して指導に活かすなど、ある程度「教科内容」を明確にした指導実践が進められてきている状況もある。新学習指導要領の告示を受けたこの時期、学会として改めて根本を問い直すという意義もあったのかもしれない。

 二日目の午前は「国語学力調査の意義と問題―歴史的・国際的視点から―」と題した課題研究発表。午後は初日に続いて5会場、各5本の自由研究発表が行われた。
 次回大会は11月22・23日に北九州市で行われるとのこと。現場実践をリードする同学会の今後に期待していきたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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