- きょういくじん会議
13日に文科省より告示された移行措置。音楽科では、学校の判断で「共通教材の充実」等の先行実施が可能となった。
音楽科の今回の改訂では、[共通事項]の新設の話題が目立っているが、今日は「共通教材の充実」に関して改めて注目してみたい。
現行の指導要領では、小学校でのみ、歌唱の「共通教材」が挙げられている。各学年とも4曲ずつ示されており、1〜4学年ではうち3曲を、5・6年では2曲を取り扱えばよかった。それが今回の改訂で、1〜4学年では4曲全て、5・6年では3曲を取り扱うこととなり、必須の曲が全学年において増えることになった。
小学校 歌唱共通教材(教材自体は変更なし)
第1学年:うみ、かたつむり、日のまる、ひらいたひらいた
第2学年:かくれんぼ、春がきた、虫のこえ、夕やけこやけ
第3学年:うさぎ、茶つみ、春の小川、ふじ山
第4学年:さくらさくら、とんび、まきばの朝、もみじ
第5学年:こいのぼり、子もり歌、スキーの歌、冬げしき
第6学年:越天楽今様、おぼろ月夜、ふるさと、われは海の子
一方、中学校の現行指導要領では、歌唱の「共通教材」が示されていない。実は前回の改訂の際に、中学校では歌唱共通教材が示されなくなったのだが、今回の改訂で復活した形となった。
中学校 歌唱共通教材
赤とんぼ、荒城の月、早春賦、夏の思い出、花、花の街、浜辺の歌
音楽科での今回の指導要領改訂のポイントとして、[共通事項]の新設とともに挙げられるのが「伝統音楽の更なる充実」だろう。そして上記の曲目を見ても分かる通り、共通教材は小・中学校ともに全てが日本の歌曲だ。
今回の改訂では、改正教育基本法等でも盛り込まれた「伝統文化」への理念が、総則においても「伝統文化の尊重」や「我が国と郷土を愛する」という形で掲げられている。音楽科の「共通教材の充実」も、単に必須の曲目を増やしただけではなく、今後、伝統文化を担っていく子ども達を育てるために、そこで果たす音楽科の役割はかなり大きいと考えられていることがよく分かる。