- きょういくじん会議
13日に文科省より告示された移行措置。国語科では、21年度から小・中学校とも学校の判断で新学習指導要領の先行実施(一部もしくは全部)が可能となった。
移行期間において、どのようなことが問題になってくるのだろうか。
まず、移行期間中に現行の学習指導要領に拠って指導を行う場合には、下記のような留意事項がある。
- 小学校…22年度からは第3学年でローマ字の指導を行うこと
- 中学校…23年度からは第1学年で「音声の働きや仕組みについて関心をもち、理解を深めること」の指導を行うこと
いずれも、本格実施の年度に向けてスムーズに移行できるように、との配慮によるものだ。
しかし実質的な課題となるのは、上記のような細かい留意事項だけではなく、次の規定だろう。
目標及び内容を2学年まとめて示している教科については、特に、平成22年度(中学校は平成23年度)の指導に当たっては翌年度を見通した適切な指導計画を作成 して指導し、…
つまり国語科では、移行期間の最終年度には必ず、本実施年度を見通した指導計画を立てなくてはならない、ということだ。
また、下記の規定も併せて考えると、古典や敬語、言語活動例など指導事項が具体的に増えた国語科では、移行措置期間をフルに使って教材開発・教材研究・授業研究等を進めていく必要があることに気づく。
実際に新学習指導要領による場合には、その内容に応じて適切な教材を用いる とともに、所要の時数を確保して指導が行われるように…
「適切な教材を用いる」ということで考えると、小学校では低学年からの古典、中学校ではPISA型読解力を見据えた言語活動例の具体化ということになるだろうか。
特に小学校低学年では「神話・伝承」の教材化が求められている。「神話・伝承」については過去長らく授業実践が途絶えてきた経緯があるだけに、文科省による「解説書」での記述が重要になってくるだろう。
今回の改訂では、新設された「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」と、全国学力調査やPISA調査などで課題が浮き彫りになった思考力・判断力・表現力等についての取り組み、という2方面の強調が際立っている。
24年度以降は高校入試も新学習指導要領に定める内容が出題範囲となる。移行措置段階においても、現場では敏感な取り組みが求められるだろう。
- 「新しい学習指導要領」(文科省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm
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