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指導要領「解説」算数編(2)―算数的活動の指導をどうするか
kyoikujin
2008/7/6 掲載

 先日の記事に引き続き、今回は『学習指導要領解説』算数編から、新学習指導要領の重点事項の一つである“算数的活動”について取り上げてみたい。

目標における算数的活動についての記述の変化

 『小学校学習指導要領』新旧対照表(PDF)をみると、『小学校学習指導要領』第2章第3節算数の「第1 目標」における算数的活動についての記述は以下のようになっている。

(新)
算数的活動を通して,数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け…算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き…
(現行)
数量や図形についての算数的活動を通して,基礎的な知識と技能を身に付け…活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き…

 上記のとおり、「算数的活動」という言葉自体は現行指導要領でも用いられているが、文脈が整理され、現行指導要領では「活動の楽しさ」となっていたものが、新指導要領では「算数的活動の楽しさ」と言い直されている。

各学年における具体例の明記

 そして、新指導要領では、各学年の内容と並んで、算数的活動の具体例が、5ないし6個ずつ明記された。「解説」では、これらの具体例の全てについて、関連の学習内容の部分で、半ページから1ページずつにわたって説明を加えている。
 このように、算数的活動について事細かに具体例や説明が加えられた要因として、現行指導要領では、算数的活動が「目標」や「指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い」で奨励されているものの、各領域、内容との関連などが明記されておらず、一般的に現場では活発に実践されてこなかったことが挙げられる。

指導要領に示されたものはあくまで、“代表例”

 このように、指導要領で算数的活動の具体例が示されたものの、「解説」では、指導要領に示されたものは、“代表例”であって、各領域に示された全ての事項において、算数的活動を通した指導を行う必要があり、この他にも各学校や教師の工夫によって授業に取り入れていくことが提起されている。

算数的活動の要件とは?

 では、現場で算数的活動の実践を開発していく上で、その実践が算数的活動であるか否かの判断はどのようにすればよいのか。
 「解説」では、算数的活動に含まれないものの例として、

  • 教師の説明を一方的に聞くだけの学習
  • 単なる計算練習を行うだけの学習

の2つを挙げている。
 これらはやや極端な例で、実践を開発していく上で参考になるとは言い難いが、いずれにしても、「児童が目的意識をもって主体的に取り組む算数にかかわりのある様々な活動」という算数的活動の基本的な原則に軸足を置きながら、各学校や学級の実態に合わせた実践を開発する努力が教師に求められることは間違いなさそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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