- きょういくじん会議
1日に文科省より公表された「小学校学習指導要領解説」。「音楽科」(ZIP)では、今回新設された[共通事項]の具体に関して、その詳細を心待ちにしていた方も多いかもしれない。
早速ざっと目を通してみると、現行の「解説」より分量が増えていることにまずは気が付く。その原因、1つは「表現領域」において、歌唱、器楽、音楽づくりの3分野ごとに分けて示したこと。そしてもう1つはもちろん、[共通事項]の新設。今回はこの2点にスポットをあてて、音楽科の改訂に関して考えてみた。
「表現領域」において歌唱、器楽、音楽づくりに関して分野ごとに分けて示す
この項目立ての整理に関して、改訂の基本方針の中では、「子どもの発達の段階に応じて、各学校段階の内容の連続性に配慮」するためとある。
これまでは、例えば「範唱・範奏」「階名模唱」「情景の想像」等、身に付けたい力を項目とし、その中で「歌唱」や「器楽」の内容が織り交ぜて述べられていたが、今回、分野ごとに項目立てが整理され、それぞれの中で身に付けたい能力が示されるようになった。このことにより、各分野で育てるべき能力がどういうものか、というのがより明確になったと思われる。
[共通事項]の新設
[共通事項]では、「音楽を特徴付ける要素」や「音楽の仕組み」を「聴き取り」「感じ取る」ことが掲げられている。さらに解説では
「音楽を特徴付けている要素」とは、
低学年では、音色、リズム、速度、旋律、強弱、拍の流れやフレーズ
中学年では、低学年で示したものに加え、音の重なり、音階や調
高学年では、中学年までに示したものに加え、和声の響き
「音楽の仕組み」とは、
低学年では、反復、問いと答え
中学年では、低学年で示したものに加え、変化
高学年では、中学年までに示したものに加え、音楽の縦と横の関係
というように、低・中・高学年ごとに身につけるべき能力が具体的に記載されている。音楽を「面白い」「美しい」と感じるための手がかりとして、まずはその音楽を「知る」ための力を養うことが必要、というわけだ。
同時に、「音楽の記号や用語を活動を通して身に付ける」ことも示されており、知識と体験の関連が意識されている。
このように、今回の解説からは、音楽科で身につけるべき能力をより明確に示していこうとする姿勢を強く感じた。これは、学力重視の時代の中で、学校音楽の存在意義を再度問い直した結果と考えられる。
音楽科の目標には、現行に引き続き「心情と感性を育成する面と能力を伸長する面とが不即不離」と記載があるが、「心情と感性を育成する」という役割はもちろんのこと、今後は「能力を伸長する面」にもより力を入れなければならないということだろう。今回の改訂では、それが目に見える形になったと感じる。
- 小学校学習指導要領解説(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syokaisetsu/index.htm
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