- きょういくじん会議
1日に文科省より公表された「小学校学習指導要領解説」。「国語編」(ZIP)では、内容に格上げされ充実した「言語活動例」の具体化についてと、新設された「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の具体的な中身に関心が集まったのではないだろうか。その2点に絞って「解説」での記述を追ってみたい。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕について
「伝統的な言語文化に関する事項」に焦点を当ててみると、改めて「言語文化」の定義が示されたことに気づく。
言語文化とは、我が国の歴史の中で創造され、継承されてきた文化的に高い価値をもつ言語そのもの、つまり文化としての言語、また、それらを実際の生活で使用することによって形成されてきた文化的な言語生活、更には、古代から現代までの各時代にわたって、表現し、受容されてきた多様な言語芸術や芸能などを幅広く指している。
つまり、学習指導要領に示されたものに限らず、能・狂言・人形浄瑠璃・歌舞伎・落語などもその範囲となりうるということだ。
「解説」で具体的に挙げられたのは低学年に関連して「古事記」「日本書紀」「風土記」や「地域に伝わる伝説」など。ことわざ・慣用句や故事成語は、「住めば都」」「油を売る」」「矛盾」」などこれまでも小・中学校の教科書等でなじみのあるものが例示された。高学年での古文・漢文については、特に例示がなかった。
言語活動例について
具体的な指導についてはわからない部分もあるものの、かなり詳細に言語活動例の中身が示された。
「話すこと・聞くこと 」では今回から初めて明記された「話し合う能力」の育成について、司会者・提案者・参加者それぞれの役割と方法が示された。だが、大人でさえ難しいといわれている「話し合って考えを一つにまとめる」という言語活動については、「どうすればまとまるのか」が示されることはなかった。
「書くこと」では、物語や随筆を書くといった創造的な言語活動が導入されたが、それぞれの文章構成の違いなどが詳しく示された。それと同時に、「このような特徴を必ずしも十分満たさなくとも」、表現すること自体の「楽しさを実感させることが大切」だという、現場の不安を緩和させるような説明もあった。
「読むこと」では、「書くこと」でも学年は異なるが同様に示された「引用」という言語活動について、「著作権」への配慮とも関連させて適切な目的・分量・利用法などが指示された。しかし、著作権法でもあまり明確にされていない「分量」についてはどのように指導するのか、非常に興味深いところだ。
重点指導事項例
1月の中教審答申で懸案として示されていた「重点指導事項例の提示」について、「解説」ではそれにあたる箇所が見られなかったようだ。とはいえ、「解説」をしっかり読み込み、その具体化を図るのは現場の教師。多様な現場でそれぞれの状況に応じた「重点指導事項」を設定することが求められているのかもしれない。
- 小学校学習指導要領解説(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syokaisetsu/index.htm
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