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中学校「解説」理科編―日常生活との関連を重視
kyoikujin
2008/7/28 掲載

 今回の改訂で大幅な授業時間数増となった中学校理科。14日に公表された学習指導要領解説理科編(ZIP)では、新しい内容や復活した内容についてはもちろん、ものづくりの推進や日常生活や社会との関連など、より一層充実を図りたい項目についても詳しく記述された。

思考力や表現力の育成を重視

 今回の改訂では、前回の改訂で削減された、イオン、遺伝の規則性と遺伝子などの多くが復活した。また、新たな内容として、DNAや地球温暖化など、社会全体で取り組むべきであろう課題などについても、授業で取り扱うことになった。これらの新内容と既存の内容を含め、全体を通して、特に重視しているのが思考力や表現力の育成である。
 例えば、新たに設けられた自然環境の保全と科学技術の利用の項目について、新指導要領解説では、

  • 新エネルギーの利用と環境への影響
  • 原子力の利用とその課題
  • バイオ燃料の利用とその課題
  • 環境保全と資源の利用

といったテーマを設け調査を行わせ、調査結果を分析して解釈させ、レポートさせたりすることなどを通して、論理的な思考力や判断力、表現力を育成することが述べられている。レポートさせるテーマ例といったかなり具体的な内容をあげていることからも、思考力や表現力育成の重視が伺える。

日常生活との関連を重視

 子どもたちの自然体験や科学的体験が不足しているといわれている。そういった中で、体験を生かした授業が求められている。しかし、いくら授業で自然体験や科学的な体験を取り入れても、理科室で行った実験と日常生活を関連付けて考えることが難しい子どもも多いようだ。日常生活との関連は前学習指導要領でも強調されていたが、今回の解説でも、さまざまなところで、「日常生活や社会との関連」といった言葉が出てくる。例えば、中和と塩では、

日常生活や社会と関連した例としては,強い酸性の河川の中和事業や土壌の改良に中和などが利用されていることを取り上げることが考えられる。

といったように、日常生活と関連させる具体的な例があげられているところも多い。
 また、各分野の内容の指導の項目でも、日常生活や社会との関連が設けられ、さまざまな原理原則が科学技術を支えており、日常生活や社会に深くかかわりをもっていることを認識させることが、明記された。

 今回の改訂で理科は大幅な時数増、内容増となった。だが、新しい内容を増えた授業時数の中で単純に扱うだけでなく、レポートを書いたり、討論したりすることで思考力を高めたり、創意工夫ある日常生活との関連をはかった授業を行うなどが求められているだろう。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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