- きょういくじん会議
文化庁は、国語施策の参考として平成7年度から毎年行っている、国語に関する世論調査の平成19年度の結果を発表した。
この調査では、ほかの人の言葉遣いや日本語の乱れが気になるか、国語力向上のための課題は何かなど、国語に関する16歳以上の一般の人々の意識が調べられている。また、外国人とのコミュニケーションや、誤って用いられやすい敬語や慣用句についても調査が実施された。
今の日本語は乱れているか?
「今の国語は乱れていると思うか、乱れていないと思うか」という調査の結果を見てみると、「非常に乱れている」と「ある程度乱れている」を合わせた「乱れていると思う」人の割合は、平成14年とほぼ変わらず79.5%と、決して低くはない。7月28日の産経新聞では、この数値の高さを国語教育が功を奏していないと捉え、国語力低下を懸念する考え方が報じられている。
しかし、よく見ると今回の結果では「非常に乱れている」と答えた人の割合が、14年度と比べて4.2%低くなっていることもわかる。
以前から、日本語の乱れを容認するかしないかということは議論されてきており、「適切に文法・敬語が使われていない」と嘆く人もいれば、「言葉は生き物で、時代とともに変わりゆくものだ」という見方もある。今回の調査で、「日本語が乱れていないと思う理由」についても調べられているが、「言葉は時代によって変わるものだと思うから」と答えた人が増加し、この答えがトップになっている。言葉が変化することを受け入れる考え方が、少しずつ広まりつつあるのだろうか。
これからの時代の言葉遣いは…
また、興味深いのは、「これからの時代の言葉遣いはどうあるべきか」という問いに対する回答で、「相手への気配りを表すものであるべきだ」と答えた人が平成9年度調査と比べて14ポイントも増加し、平成14年に最も多かった「話す人の気持ちを、分かりやすく飾らずに伝えるべきものであるべきだ」をおさえてトップになったことである。また、「日本人全般の国語力にはどのような課題があるか」という問いに関しては、「相手の立場や場面を認識する能力」が14年度の11.5%から31.6%へと大幅に増えている。敬語などの文法や慣用句の用法そのものだけでなく「気持ちが伝わる」かどうかが重要だとする人もいるのかもしれない。
現在、日常的に使う漢字が変化していったことをふまえ、常用漢字の見直しが行われている。敬語など、文法が変化する日もいずれ訪れるかもしれないが、今回の調査結果が今後の国語施策に大いに役立つことを期待したい。
