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教育に新聞を―NIE実践の実態調査
kyoikujin
2008/8/9 掲載
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 新聞を活用した教育活動「NIE」を推進している日本新聞教育文化財団は、7月31日、NIE実践の実態調査結果(PDF)を公表した。調査結果からは、限られた時間の中で様々な工夫を凝らして新聞を活用している現場の様子が伺われた。

 この調査は、日本新聞教育文化財団が、2007年度NIE実践校のうちの継続校264校を対象に今年の2月〜3月に行ったもの。なお、「NIE実践校」とは日本新聞教育文化財団の認定を受け、授業で活用するための新聞の提供を一定期間受けている学校のことで、2008年度の実践校は全国で538校あるという。

多くの教科・領域で使われている「新聞」

 最も多く新聞が活用された教科領域は「社会・地理・公民」(79.8%)。続いて「国語」(66.3%)、「道徳」(31.1%)、「特別活動」(29.5%)、「理科」(25.4%)だった。そのほかにも小学校では、算数、生活、音楽、図工、中学・高校では技術・家庭など、多くの教科で新聞が使われていた。

活用の場面も様々な工夫が…

 新聞活用の場面も様々だ。
 新聞で学ぶ実践として挙げられたのは、「スクラップや興味のある記事を選ばせる、感想などを書かせる」が最も多く66.8%、「記事について意見交換など授業で記事を活用」が31.6%だった。他には、調べ学習の資料として活用したり、記事についてスピーチするなどの様々な実践がみられた。
 また、小学校の87.3%、中学校の61.4%が学習のまとめなどに「新聞づくり」を実施していた。
 そしてこれらの活動だけでなく、小学校の9割近く、中学校の8割が「NIEコーナーを設置して自由に新聞を読ませる」など、普段から新聞に親しませることを積極的に行っていた。

新聞活用の難しさ

 新聞を活用するにあたって、現場では苦労もあるようだ。
 NIEを実践している先生方から新聞活用の難しさとして多く挙げられたのは、「教材研究のための時間が足りない」「新聞活用のための時間が足りない」という点。これを解決するため、経験者のアドバイスを受けたり実践報告書などを活用したりするなどして教材研究時間を短縮したり、活用時間を選択、HR、朝の会など主要教科外に設定するなどの工夫をしているという。
 また小学校では、「使いたい記事が見つけられない」という問題点も挙げられていた。

気になるNIEの実践効果は?

 気になるNIEの実践効果だが、NIEを通して子どもたちは「新聞に興味・関心を持つようになった」(77.2%)、「社会への関心が高まった」(71.5%)、「新聞を進んで読むようになった」(60.1%)という変化がみられたという。校種別では、特に小学生でこれらの変化が大きく見られる。
 しかしながら、NIEへの保護者の評価はあまり高くはない。
 NIEの実践について「高く評価している」と答えた保護者は小学校では43.7%だったものの、中学校は22.9%、高校は11.5%にとどまった。そして「どちらともいえない」という回答が全体の7割近くと最も多い結果となっていた。
 この評価、限られた時間の中で工夫して実践してきた先生方にとっては厳しい結果といえるかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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