- きょういくじん会議
14日に文科省より公表された「中学校学習指導要領解説」。先日の記事に引き続き、今回は国語科の解説(ZIP)で示された“伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項”について見て行きたい。
伝統的な言語文化に関する事項
今回の改訂では、「伝統的な言語文化に関する事項」が新たに設置され、古典は「読むこと」だけでなく、「話すこと・聞くこと」「書くこと」にも関わり、より高度な理解と関心を要求する内容となっている。そのため、古典の指導方法や教材の解説に注目が集まったのではないだろうか。
発表された中学校「解説」を見ると、具体的な教材は示されなかったが、第2学年で「古典の易しい現代語訳」や「古典について解説した文章」「音声や映像メディア」などの例が示され、原文以外の教材を活用するよう求めていることに気づく。
「取り上げる教材についての観点」では「古典の指導は原文でなければ行えないというものではない」と明言されていることからも、従来の口語訳中心の授業ではなく、古典への興味を引き出す授業が重視されていることが分かる。
ただし、「ある程度まとまった知識を得させる」指導も可能であるとされており、体系的な知識を教える学習へも配慮がなされている。
また、今回の改訂で取り上げることが示された「近代以降の代表的作家の作品」に関して、その作品が古典指導とつながる必要があり、そこで日本の言語文化の継承性と発展性を教えるねらいがあることも明らかにされた。
最も指導の難しそうな第3学年の「古典の一節を引用するなどして、古典に関する簡単な文章を書くこと」の解説では、一節を引用した感想文や手紙、作品を紹介する文章を書く指導などが例示された。
同じく第3学年の「歴史的背景」を取り上げて読むことに関しては、あくまで古典読解に役立つ事柄を精選するように指示し、教科の枠を意識した内容となった。
言葉の特徴やきまりに関する事項
今回の指導要領改訂で、「言葉の特徴やきまりに関する事項」には、これまで言語事項として扱われてきた内容の多くが引き継がれた。解説では、漢語・和語・外来語の比較から日本語の微妙なニュアンスの違いを感じ取るなど、「言語感覚」を磨く指導が強調された。
また、第2学年の敬語指導の解説では、文化審議会答申「敬語の指針」に示された“敬語の5分類”を取り上げる考えも挙げられている。敬語の5分類とは、謙譲語を“謙譲語Ⅰ”と“謙譲語Ⅱ”に分け、さらに美化語を加えたもので、言葉のとらえ方の変化を早くも取り入れた形となった。
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