- きょういくじん会議
7月14日に文科省より「中学校指導要領解説」が発表された。家庭科編(ZIP)における大きな変更点に着目してみると、実践的・体験的学習の重視や、問題解決能力の育成という目的が根底にあるように思われる。以下、大きな変更点4点についてみていく。
2編から4編へ
これまでは「生活の自立と衣食住」「家族と家庭生活」の2編で構成されていたが、「家族・家庭と子どもの成長」「食生活と自立」「衣生活・住生活と自立」「身近な消費生活と環境」の4編で構成されることになる。これにより、家族や家庭についての内容を、中学校の最初に学習することが可能になる。小学校の学習内容との連続性を感じさせ、中学校の学習内容を展望させるといった位置づけとみることができる。
実習が選択から必修へ
実習の中には、選択から必修へと変更になるものがある。「幼児との触れ合い」「地域の食材を生かした調理」「布を用いた物の製作」の3点である。実際に触れ合ったり、製作したりすることによって、体験を通じた実践的な学習ができる。知識を実際の場面で生かすことができ、技術の習得と実用能力の養成も期待できる。同時に、家族や家庭の役割を実際に感じ取る、地域の食文化を継承する、衣生活や住生活を豊かにする方法を工夫するといった目的もあるものと思われる。
新項目は「食生活」と「消費生活」関連
「中学生の1日分の献立」の前に「中学生の1日に必要な食品の種類と慨量」の項目が新設された。これにより、中学生の食生活についてより具体的に学習し、それを生かして献立づくりに取り組むことになる。また、「消費者の基本的な権利と責任」という項目も新設された。これまでは学習内容として「消費者保護」があったが、「権利と責任」を学習することで、消費者としての自覚を意識させる狙いもあると思われる。
問題解決能力育成のための「課題と実践」
新たに、「家族又は幼児の生活」「食生活」「衣生活又は住生活」の中から1つか2つを選択し、「課題と実践」という取り組み方で学習する。それぞれの項目について、生活の見直し、課題の発見、解決方法の検討、実践、評価という流れで、問題解決的な学習に取り組む。グループ学習や発表といった方法も取り入れると、より幅広い活動が可能になる。
以上4点が要点である。特に注目したいのは、必修となる実習と新規の「課題と実践」。生涯役立つような実践的な学習が充実したことは評価できる。また、これらは、具体的な取り組み方が学校や教師の裁量による部分が大きく、工夫次第で効果的な学習が期待できる。ただし、その分、学校間で取り組み方に差が出るということも起こり得るだろう。
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