きょういくじん会議
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実験器具がそろわない―特別支援学校の現状
kyoikujin
2008/8/20 掲載
電圧計

 温度計や電圧計などの実験器具は、誰もが一度は理科の授業で扱ったことがあるのではないでしょうか。実験に必須である器具だからこそ、すべての学校に揃っていると考えがちです。しかし今、これらの器具が不足して実験が思うようにできない学校があるそうです。今回は、特別支援学校が抱える理科の実験に対する現状に向き合ってみました。

 液体の温度を測ったり、電熱線にかかる電圧を測ったりといった実験は特別支援学校でも一般的に行われてきたそうです。しかし、ハンディキャップに対応した実験器具を生産しているメーカーが相次いで倒産したり、予算の面でこれらの実験器具を新しく購入することが困難になっているのが現状のようです。

 特別支援学校で使われる実験器具は、目が見えない生徒でも自分で実験が行えるように、測定した値を音声で知らせてくれます。これらの器具は、通常の実験器具よりも需要が極端に少なく、1台あたりの価格も通常の10倍以上だそうです。そのため一度壊れてしまうと再購入するのが難しいのが現状です。そこで、学校によっては先生が測定値を読み上げるなどの対応を余儀なくされているようです。

 理科教育についてまとめた法律、理科教育振興法によると、実験器具など理科教育に必要な費用のうち、半額を国が学校設置者に対して補助することを定めています。しかし、残りの半額は学校設置者である都道府県(私立を除く)が負担しなければなりません。そこで、予算的に厳しい都道府県では特別支援学校の為の器具が購入できないようです。

 日本視覚障害理科教育研究会は現在ホームページ上で、実験器具の購入費用の予算化を求める要望書を公開しています。まだ、このような現状はあまり認知されていません。しかし、特別支援学校が抱える理科教育の現状は深刻です。ハンディキャップの有無にかかわらず、多くの生徒が平等に実験を行えるよう、早急な対応が必要ではないでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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