きょういくじん会議
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遅刻対策にスーパーでおなじみのアノ機械―オーストラリア
kyoikujin #93
2008/8/19 掲載
バーコード革命

 夏休みも残すところあと約2週間。長〜いお休みの間に寝坊グセがついてしまい、始業日にあわや大遅刻! なんてヒヤリとした思い出がある方もいるかもしれません。はるか昔の自分はともかく、わが子や生徒たちの遅刻は気になるトコロ。
 15日付けのロイター通信の記事によると、オーストラリアのある小学校では、バーコードを活用して生徒の遅刻対策をしているとのこと。

 生徒はそれぞれ自分のかばんにバーコードを付けており、遅刻してしまった場合は職員室に行って、そのバーコードをスキャンしなくてはなりません。そして登校時間が書かれた紙を印刷し、教師にその紙を見せてから初めて授業を受けられるんだとか。お勤めされているのであればタイムカードを利用している方も多いかと思いますが、それにちょっと似たシステムですね。

 メルボルンにあるこの小学校、以前は全校生徒550人のうち毎日平均して約180人もの生徒が遅刻していたんだそう! 3人に1人というあまりの遅刻者の多さに、さすがに何か手を打たなければと考えたのでしょう。このバーコード・システムを開発、導入したところ、今では遅刻者が1日平均9人に激減したということですから、なかなかの成果が上がったようです。
 しかし逆に懸念されるのは、かばんを友達に預けて代わりに出席を取ってもらう生徒が出てきたり、「遅刻してバツの悪い思いをするならいっそ休んでしまおう」と考える子が増え、不登校という結果に導いてしまうことなどではないでしょうか。

 しかしこのシステム、電子化の効果というより、職員室に行かなければならないというペナルティが効いたのではという気もしますが、どうでしょうか? 日本でも海外でも、生徒たちが「できれば足を踏み入れたくないなぁ」と思う場所は一緒なのかもしれませんね。

 ところで日本では、ICタグによる登下校管理システムを導入する小学校が少しずつ増えてきています。最近ではPasmoを利用したサービスも始まったとか。これらのシステムは遅刻対策ではなく、登下校時の安全対策のためのものですが、機械の力で子どもたちを管理下におくという点では同質のもの。
 賛否両論ある電子化への流れですが、機械に依存しすぎるあまりそれが首輪となってしまわないよう、大人たちは人と人とのつながりを忘れずに、子どもたちを見守り育てていきたいものです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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