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白熱! 全国小学校国語教育研究会埼玉大会
kyoikujin
2008/8/28 掲載

 さる20日、埼玉大学教育学部附属小学校において全国小学校国語教育研究会埼玉大会が開催されました。埼玉県国語教育夏季研修大会も兼ねての開催ということもあり、会場には全国から900人近くがつめかけました。

 なかでも会場を盛り上げたのが、新学習指導要領をふまえたシンポジウム。小森茂氏・市毛勝雄氏・野口芳宏氏・竹長吉正氏をシンポジストに迎え、江部満氏の司会により100分間の議論が展開されました。

 題目としては、主に以下の6点。

1.改正教育基本法のもとで初めて改訂された新国語科の評価
2.「教えて考えさせる」教師主導型への転換をどう見るか
3.「習得・活用・探究」をどう具体化するか
4.「伝統的な言語文化」の授業づくりについての考え方
5.PISA型読解力についての考え方
6.国語科教育改革についての現場教師への期待

 このうち、特に会場の先生方の関心を集めた各氏の主張は以下のとおりです。(発言順)

竹長吉正氏

  • 「書くこと」領域以外でも記述力を重視していることに注目。ただし、自己表現を焦って求める前に、テキストを的確に読み取ることを大事にすべきだ。
  • 伝統的な言語文化のなかでも、漢文・漢語における「論理的な教材」というものを掘り起こしていく必要がある。

野口芳宏氏

  • 教師こそが教室の主役。教えて考えさせるのが当たり前。
  • 不易の部分が80%。改訂された部分ばかりを見るのではなく、変わらないところこそを大事にすべき。
  • 習得こそが大事。活用できないのは習得していないからだ。

市毛勝雄氏

  • 論理的に書く、考えるということは学校教育でしかできない。今までのようないい加減な国語ではなく、科学的・系統的・体系的な授業を!
  • 活用や探究こそが大事だ。活用させてみて間違いがあればそこで直す。そのことによって習得も備わってくる。先生方の大事な仕事は「添削指導」だ。

小森茂氏

  • 国語は学力向上のための「学校教育の主役に位置づけられた」。PISA型読解力をふまえた思考力・判断力・表現力を高めるための「習得・活用・探究」である。先生方はこのことの自覚を!
  • 国語科だけでなく、生活科など他教科等との連携を重視した「ハイブリッド型の学習指導案」を提案したい。

 以上のように、四者四様の語り口によって、参加していた先生方も大いに刺激を受けたようでした。
 猛暑のなか、冷房のない体育館で、いつしか団扇であおぐ手も止まって、熱心にメモを取られていた先生方の姿が印象に残りました。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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