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予算要求で教員給与減額方針―義務教育等特別手当カット
kyoikujin
2008/9/1 掲載

 朝日新聞の記事など各紙の報道によれば、文科省は財務省への2009年度予算概算要求で、本給の3.0%分支給されている義務教育等教員特別手当を、2.2%へ削減し、教員全体の給与を75億円減額する方針を明らかにした。

 義務教育等教員特別手当は、人材確保法に基づく教員への優遇措置だが、2006年の「骨太の方針」で一般行政職の給与を上回る2.76%の優遇分を削減することが決定している。これを受け、今年度は来年1月から特別手当の縮減として19億円が減額され、来年度はさらに75億円の減額が要求されている。

 優遇措置のカットに対する措置として、2007年の中教審答申で、残業代の代わりに一律4%支給されている教職調整額の見直しが提言されている。文科省は昨年、時間外勤務手当ての導入も視野に入れ、教員の現状に見合う給与体系を検討しようと、大幅な予算増を要求したものの財政審建議で否定された。今年も専門家による検討会議を組織し、議論が交わされたが、教員の勤務時間管理の困難さなどを理由に教職調整額の変更は見送られた。

 しかし、平均の残業時間が約2時間という勤務実態や、休み中の部活指導の負担など、教員の仕事量過多の問題は依然として残っており、以前の記事「教員の勤務実態が明らかに―文科省、40年ぶりの調査」「夏休みの部活動―教師にとってはボランティア?」にも多くの反響が寄せられている。

 一方、子どもと向き合う時間を拡充する方針は維持された。今年度は1,000人増だった教職員定数を1,500人増へ、7,000人分だった非常勤講師の国庫補助は1万1,500人分へ拡大する方針だ。

 昨年12月の記事に詳しいが、昨年度は概算要求で約7,000人の定数増を要求したものの、財務省から反発を受け、1,000人増に留まったという経緯がある。「20年度から3年間で総数2万1,000人増」の目標に対しては、教員OBらを非常勤講師として雇用することで不足分を埋めた形だ。本年度の予算要求もこの路線を踏襲したものとなった。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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