きょういくじん会議
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映画「ブタがいた教室」―今の私たちにはどう映る?
kyoikujin
2008/9/16 掲載
豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日 (単行本)

 11月1日から公開される映画「ブタがいた教室」。実はこれ、1990年代に本当にあった実践が映画化されたものなのです。教育現場に大きな疑問を投げかけたあの話、覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

 1990年から1992年までの2年間、大阪豊野町立東能勢小学校で、当時新任だった黒田先生(現仏教大学教育学部准教授)は、ブタを育てて食べようという実践を試みたのです。その実践の模様は1993年にテレビで紹介され、賛否両論になりました。

 5年生から飼育し始め、6年生になったときに、ブタのPちゃんの命にかかわる選択を迫られる子どもたち。「僕らがPちゃんを食べることが、責任をとるってことやと思う。」などと議論を繰り広げた子どもたちの表情は、とても緊迫していました。

 また、豚のPちゃんと32人の小学生という本が、黒田先生の著書として出版されています。

 その実践を元に制作された「ブタがいた教室」。
 撮影は廃校になった小学校を利用、キャストやスタッフは毎日登校しブタを飼育し、映画の脚本は、大人用と子ども用が用意され、子どもの脚本は白紙だったとのことです。子どもたちに、「ブタを食べるか・食べないか」の討論をアドリブでやらせたのは、リアルに伝えたいという監督の想いが表れています。

 10数年前の実話を追体験したともいえるこの映画は、「もはやドキュメンタリー」という前評判があります。

 1990年というと、総合学習もなく、食育も騒がれていなかった時代のことですが、今の私たちはどう考えるのでしょうか。

 私たちは毎日いのちをいただいています。原点の生きているブタの姿と、スーパーで売っているブタ肉が同一のものだと考える機会は少ないかもしれません。特に子どもにとっては、原点から加工の経緯を理解することで、大事ないのちだからこそ、大切にいただくという気持ちが芽生えるとも感じます。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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