きょういくじん会議
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算数・数学教育の研究動向―数の感覚を育てる
kyoikujin
2008/9/11 掲載
エトボイラ そろばん 白木(大)

 8日の時事通信出版局の記事によると、数の多少に対する直観的な感覚が学校の算数・数学の成績に反映されるという、米国の大学の実験、調査結果が英国の科学誌『ネイチャー』に発表された。数や図形の感覚を育てることを重視している日本の算数・数学教育にとっても示唆するところの大きい結果と言えそうだ。

結果が示すのはあくまで数への感覚と算数・数学の成績の関係

 実験は、画面上に一瞬表示される2色の点の多い方を答えるというもので、この実験の結果が、被験者のそれまでの算数・数学の成績と同様の傾向を示したという。
 記事にもあるとおり、これは、あくまで数への感覚と算数・数学の成績の相関関係を示した実験結果に過ぎず、数への感覚を育成するメカニズムなどを解明したものではない。

数や図形の感覚を育てる日本の教育実践(1)―分数のイメージづくり

 日本でもすでに、授業実践を通して、実際に数や図形の感覚を育てる取り組みを行っている教諭は多い。
 筑波大学附属小学校の田中博史教諭は、苦手な児童の多い「分数」のイメージを豊かにするための実践や教材開発に力を注いでいる。田中教諭は、整数や小数と比べると児童の日常生活とのかかわりが薄い分数を、時間、割合などその他の表現方法と結びつけてイメージを育てることを重視しており、その指導に有効な「分数トランプ」という教材も開発した。ゲーム感覚で取り組めることもあり、児童にも好評のようだ。

数や図形の感覚を育てる日本の教育実践(2)―直観力の育成

 問題の解決を中心に展開される算数や数学の授業では、問題解決の糸口をつかむための直観的なセンス(感覚)が重要だ。
 愛知県の公立中学校の神谷和宏教諭は、体験的な要素を取り入れた授業の中で、生徒の気づきやつぶやきをうまく取り入れながら、“直観力(ひらめき)”を育てることを重視している。
 新しい教育課程が、論理的な思考力や思考したことを表現する力など、問題解決の過程で発揮される能力を重視する傾向にあることとも対照的で興味深い。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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