- きょういくじん会議
文部科学省が実施した「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査」の結果が、8月に公表されました。塾やならいごとなどに通う子どもの数は増えていると言われますが、実際はどうなのでしょうか。子どもたちの放課後や休日の過ごし方と密接に関わる事柄なので注目してみたいと思います。
どんな調査?
文科省が、子どもたちの学校外での学習活動の実態を調べるために行っています。前回調査は平成5年、前々回調査は昭和60年に行われました。スパンが長いので、長期的にみるとどんな変化があるのかを知ることができます。調査の対象は、全国の公立小・中学生の保護者(小学校1〜6年・中学校1〜3年)と、児童生徒(小学校3〜6年・中学校1〜3年)です。
今回の調査は、「学校外での学習活動全般」、「学習塾通い」、「子どもの生活習慣と学校外での学習活動との関係」の3本立てで行われました。このあとの記述に出てくる「学習塾」は、学校以外の自宅外で国語や算数などの教科の指導を行うもの、「ならいごと」は、自宅や自宅外で習字、そろばん、ピアノ、スポーツなどの指導を受けるものを指しています。
塾やならいごとに通う子どもは増えている?
さて、調査結果はどうなっているのでしょうか。全体でみると小・中学生ともに、学校外で何らかの学習活動を行っている子どもの割合は、昭和60年調査から平成5年調査にかけて上昇していますが、今回調査にかけては低下しています。小学生の内訳は、ならいごとが低下、家庭教師が横ばい、学習塾が上昇となっています。注目したいのは、平成5年から調査項目に加わった通信添削の上昇幅が大きい点です。
中学生では、学習塾が低下、家庭教師が横ばい、ならいごとが上昇となっています。小学生同様、通信添削の上昇幅が最も大きくなっている点が興味深いですね。最も低額な通信添削が人気を集めているものと思われます。また、通信添削は自分の都合のよい時間に取り組めるので、他の学習活動との掛け持ちがしやすいのかもしれませんね。
塾通いの子は遅寝遅起き?
この調査では様々な調査項目について調査されているのですが、特に注目したいのが、学校外での学習活動と子どもたちの生活習慣との関係についての調査結果です。小・中学生全体の就寝時間についてみてみると、学習塾に通っている子どもは、通っていない子どもより就寝時間が遅くなっています。ならいごとに通っている子どもは、通っていない子どもより就寝時間が早くなっています。起床時間については、就寝時間が遅い子どもほど起床時間も遅くなっています。学習塾はならいごとに比べて遅い時間まで行われるものが多く、それが就寝時間が遅くなることに影響しているのでしょうか。
塾通いの子は疲れている?
学校外での学習活動と子どもたちの生活習慣との関係についての調査結果で、最も衝撃的なのが次の結果です。児童・生徒に、自分が希望する「放課後の過ごし方」、「休日の過ごし方」をたずねると、学習塾に通っている子どもは、通っていない子どもより、「家で寝ていたい」という割合が非常に大きいという結果が出ています。また、友だちや家族と過ごすことを希望する割合が小さい、ひとりで過ごしたいという割合が大きいという結果も出ています。
一方、ならいごとに通っている子どもは、通っていない子どもよりも、「家で寝ていたい」という割合が小さく、友だちや家族と過ごすことを希望する割合が大きいという結果が出ています。塾通いの子どもたちが、ひとりで過ごすこと、寝ていることを希望する結果が気になりますね。やはり疲れがたまっているのでしょうか。
今回の調査では、学校外で学習活動を行う子どもの割合は、意外にも低下しているという結果が出ました。しかし、子どもの生活習慣との関係では、塾通いの子どもたちの心配な兆候が明らかにっています。塾通いが与える毎日の生活への負担がなるべく少なくなるよう、各家庭では更なる工夫・協力が必要になってくるかもしれませんね。